厚生労働省は、低賃金が指摘されている介護職員を対象に、来年2~5月に実施する月6000円相当の賃上げについて、2024年度介護報酬改定で6月以降も継続する方針を固めた。物価高騰を受けて他産業で賃上げが続く中、介護分野からの人材流出が深刻化。賃上げを持続させて、担い手を確保する狙いだ。
 23年度補正予算には、来年2~5月の賃上げ分の経費が盛り込まれた。厚労省は、報酬改定までの「つなぎ」として補助金を活用して、賃上げ原資を事業所に配分。それ以降は、介護報酬の処遇改善加算を通じて対応する。報酬改定率によっては、賃上げ額が上積みされる可能性もある。
 処遇改善加算に関しては、30日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、厚労省が見直し案を提示。現行の3種類の加算について、事務作業の煩雑さから取得のための手続きをしない事業所があるとして、一本化する。介護職員に重点的に充てることを基本に、事業所内で柔軟に配分できるようにする。現場の混乱を避けるため、1年間の経過措置を設け、25年度から本格実施する方向だ。
 介護サービスの公定価格である介護報酬は3年ごとに見直される。24年度改定では、物価高騰や人材確保への対応が焦点。政府は年末までの予算編成過程で、改定率を決定する。 (C)時事通信社