東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、2歳男児が手術後に死亡した事故で、小児に使用すべきでない鎮静剤を過剰に投与したとして、業務上過失致死罪に問われた医師の小谷透(64)、福田聡史(42)両被告の初公判が8日、東京地裁(細谷泰暢裁判長)であり、2人とも無罪を主張した。
 検察側は冒頭陳述で、小谷被告は集中治療室で人工呼吸中の男児に、使用が原則禁じられている鎮静剤「プロポフォール」を投与することを決めたと指摘。両被告とも、人工呼吸の延長が決定した時点で安全とされる投与量を超える可能性を認識できたのに、容体を観察したり別の薬に切り替えたりするなどの対応を怠ったとした。
 弁護側も冒頭陳述し、他の医師らが不適切な作業で人工呼吸器を外したため死亡したと主張。仮にプロポフォール投与が原因だとしても、薬剤の選択や使用継続の判断などに最善を尽くしており、死亡の予見、回避はできなかったと反論した。
 両被告は罪状認否で、男児と両親に対し「残念で申し訳ない」と謝罪した一方、「刑事責任を問われることではない」と述べた。
 起訴状によると、両被告は14年2月18~21日、首のリンパ管腫の手術を受けた男児にプロポフォールを投与。心電図の異常など容体が悪化したのに、すぐに投与を中止するなどの適切な対処をせず、急性循環不全で死亡させたとされる。 (C)時事通信社