研修医こーたの出来たてクリニック

人の命に関わる緊急事態です 
「スタットコール」ご理解を(研修医・渡邉昂汰)

 「スタットコール、スタットコール。医療スタッフは604号室に集まってください」

 このような館内放送を病院で聞いた方がいらっしゃるかもしれません。この館内放送は、院内で緊急事態が発生したことを全医療スタッフに知らせる緊急コールです。患者さんが暴れたり、火災で多くの人が搬送されたりする場合などにも流れますが、ほとんどは院内のどこかで患者さんの容体が急変し、蘇生措置を行わなくてはならないケースです。これは「コードブルー」とも呼ばれます。

スタットコールが流れる時は命に関わる緊急時です。ご理解ください

スタットコールが流れる時は命に関わる緊急時です。ご理解ください

 ◇総力を挙げて対応

 容体の急変時には多くの人手が必要です。胸骨圧迫(心臓マッサージ)をする人、原因究明のために採血検査や超音波検査を行う人、点滴ルートを確保する人、薬剤投与を行う人、何時何分に何を行ったのかを詳細に記録する人。このほかにもたくさんの役割があり、集まったスタッフが総力を挙げて対応します。

 患者さんの容体は刻一刻と変化するので、時間との勝負になります。できるだけ早く、そして多くの人を集めるためにこの館内放送を行うのです。

 時々、患者さんからスタットコールに対するご意見を頂くことがあります。「夜間に大音量で放送が流れるとびっくりしてしまう」「必要な人だけに院内PHSでかければいいのではないか」

 ◇適切・迅速な情報共有

 療養されている多くの患者さんを驚かせてしまうことについては、とても申し訳ないと思っています。しかし、適切かつ迅速な情報共有のためには、音量を下げたり、館内放送をやめたりすることは難しいのも事実です。

 手の空いている医療スタッフだけでなく、急変した患者さんの主治医や担当医も、その時行っている仕事をいったん止めて急変患者の元へ向かいます。それに伴って、外来の時間が大きく遅れてしまい、診察の待ち時間が長くなってしまうこともしばしばあります。

 このように、緊急時にはご迷惑をお掛けしてしまうこともありますが、院内の誰かの命に関わる状況をご理解いただけたるとありがたいです。そして、どうか寛容な心でスタットコールを聞き流し、急変患者さんの無事を祈っていただけたらと思います。(了)


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