慶応大などの研究グループは、うつ病などに対するオンライン診療の治療効果は対面診療と同程度だったとの調査結果を公表した。研究成果は16日、精神医学専門誌の電子版に掲載された。
 オンライン診療は、新型コロナウイルス流行を機に注目されるようになった。ただ慶応大によると、日本では普及が進まず、特に精神科ではほとんど利用されていない。
 研究グループは、うつ病や不安症、強迫症で精神科に通う患者約200人を対象に調査を実施。約半数は、スマートフォンなどによるオンライン診療と対面診療の併用診療を受け、残りが対面診療だけを受けた。両者とも、患者は主に40歳前後で、男女比はほぼ1対1だった。
 治療を半年間続けた後、患者側の満足度や疾患の重症度、治療が続けられているかなどの点について状況を調べた。その結果、ほぼすべての項目で両者に有意差はなく、治療効果は同等と結論付けた。併用診療を受けた患者では、通院時間が短く、通院費も安く済むメリットも確認できた。
 慶応大の岸本泰士郎特任教授は「精神科は専門医が不足している地域もある上、症状によっては外来が難しい患者もいる。オンライン診療により通院の負担が少なくなるのでは」と話している。 (C)時事通信社