理化学研究所と京都大は、新型コロナウイルスへの持続的な感染により心不全のリスクが高まる恐れがあることが分かったと発表した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心臓組織を使った実験で明らかにした。論文は23日、米科学誌アイサイエンス電子版に掲載された。
 従来の研究でも、新型コロナに感染すると心不全などの発症リスクが高まる可能性は指摘されていた。そのため、感染者の爆発的な増加に伴う心不全の急増が懸念されているが、臨床的な証拠はなかった。そこで理研などは、iPS細胞から作製したシート状の人工心臓組織を使い検証した。
 実験では、新型コロナ拡大初期の流行株を使用。ウイルス量を変えて心臓組織に感染させると、いずれのグループでも心機能は低下したが、量が多い場合は低下が続いたのに対し、少ない場合は4週間後に回復傾向を示した。
 理研などはさらに、少量のウイルスを持続的に感染させた心臓組織を低酸素状態に置いた。すると感染していない場合と異なり、心機能は時間がたっても回復せず、血管網の損傷も確認できた。理研の升本英利上級研究員は「感染で心不全を発症するメカニズムの解明や治療法開発につながることが期待できる」と話している。 (C)時事通信社