能登半島地震では厳しい寒さの中、多くの被災者が避難所での生活や車中泊を余儀なくされている。エコノミークラス症候群や低体温症の恐れがあり、専門家は「こまめな運動と水分補給を」と呼び掛ける。
 エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢でいることで足の静脈に血栓ができ、肺の血管が詰まって呼吸困難などに陥る。2016年の熊本地震では、車中泊した女性が同症候群で死亡したケースもあった。
 予防策として、新潟大の榛沢和彦特任教授(心臓血管外科)は「大事なのは体を動かすこと。1分でもよいので、4~5時間おきに歩くことで予防になる」と話す。外出できない場合でも、ふくらはぎをマッサージする、足の指で「グー」をつくる、つま先立ちすることも予防につながる。
 榛沢教授は「避難所の床は冷たいこともあり、長時間直接横にならないようにしてほしい。血流が悪くなり血栓ができやすくなる」と指摘する。
 水分補給も重要だ。トイレの順番待ちを避けようと水分を控えめに取ることも想定されるが、脱水状態でエコノミークラス症候群を発症しやすくなるといい、定期的な補給を促している。
 冬の避難所生活や車中泊では低体温症の危険もある。対策として避難所・避難生活学会は、重ね着のほか、体を寄せ合ったり上着の中に新聞紙を詰めたりすることが有効としている。 (C)時事通信社