元日に発生した令和6年能登半島地震を受け、避難所・避難生活学会(代表理事:石巻赤十字病院副院長・植田信策氏)は、冬季の発災における3つの健康被害防止策を公式サイトで訴えた。(関連記事「安全な避難所生活の確保に向け提言」「3.11の教訓から災害医療を展望」)
①低体温症:兆候あればすぐに体を温めて
発災により断水や停電など、ライフラインにも影響が及んでいる。暖房が不十分だと、特に高齢者では低体温症の恐れがある。そのため同学会は、体の震えが止まらない、呼びかけへの反応が鈍いなど、低体温症の兆候が見られたら、すぐに体を温める、または病院に搬送するよう呼びかけている。
低体温症の防止策は、防寒着を着用する、乾いた衣類を重ね着する、上着の中に新聞紙を詰めるなど。また、床に直接身体が触れると体温を奪われるため、ベッドやマットレスを使用すること、温かい飲み物を飲むことなども有効だとしている。
②車中避難:さらに3点に注意を
災害時に自宅が被害に逢いながらも、なんらかの理由で避難所に入れず、自家用車で避難生活を送る被災者もいる。その場合は次の注意が必要だ。(関連記事「厳冬期の車中泊に注意喚起」「分散避難先としての車中泊に"質"を付加」)
一酸化炭素中毒:ガレージなどの閉鎖環境でエンジンをかけ続けていると、車内に排気ガスが充満し一酸化炭素を吸入する恐れがある。
静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群):静脈血栓塞栓症の予防として、定期的に歩いて下肢の血流を促す、足を伸ばす、トイレを我慢しない、カフェインを除き水分を補給するなどを心がける。
低体温症:車のエンジンを止めると車内の温度が急激に低下する。特別な装備がなければ避難所に移動する。
なお参考資料として、新潟県が作成した「やむをえずクルマで避難生活するときのリスクとソナエ」を紹介している。
③停電中の自宅で生活:ガス警報器の停止で火災発生の恐れ
一方、停電中に自宅で過ごす被災者の注意点として2点を挙げている。
一酸化炭素中毒:暖を取ろうとして室内で炭や練炭を燃やしたり、室内で発電機を回したりすると大量の一酸化炭素が発生する。そのため、いずれも行わないよう呼びかけている。
火災の防止:停電時はガス警報器が作動しない可能性がある。カセットコンロなどの火器を使用する際は、ガス漏れがないことを十分に確認する。
(田上玲子)