最大震度7を観測した能登半島地震で、被災地の避難所に派遣された医師が、6日までに取材に応じた。断水の影響で衛生管理が難しいことなどから、新型コロナウイルスなどの感染症がまん延するリスクが高まっているとして、早急な対応の必要性を訴えた。
 被災地支援に当たったのは、日本医科大教授の横堀将司医師。全日本病院災害時医療支援活動班(AMAT)の一員として、看護師らと共に活動した。
 当時、約4000人が避難していた石川県能登町には、発生から48時間は医師が1人しかいなかった。横堀医師が派遣された小木中学校に開設された避難所では、避難者らが懐中電灯の明かりを頼りに生活していた。「水ない、食料少ない、電気もない。精神的にも物質的にも遮断されている」と現地の状況を振り返る。
 診察した避難者には発熱やせき、下痢などの症状を訴える人が多く、解熱剤を投与して、学校の教室などに隔離した。ただ、暖房器具が不足しているため教室への隔離には限界があるという。
 断水の影響で手洗い用の水がなく、長期にわたり入浴できないことを懸念。物資も不足しており、消毒用アルコールの使用やマスク着用などを徹底することも難しく、インフルエンザ新型コロナなどの拡大への警鐘を鳴らす。
 横堀医師は「これから心筋梗塞や肺梗塞のリスクも高まる。災害関連死をなくすため、医薬品だけではなく人的支援も必要だ」と訴えた。 (C)時事通信社