オンライン診療で「ダイエット薬」として糖尿病治療薬を処方され、体調不良などトラブルになるケースが相次いでいる。安全性と有効性が確認されていないとして、国民生活センターなどが注意を呼び掛けている。
 日本糖尿病学会などによると、薬は、糖尿病の治療用として承認されている「GLP―1受容体作動薬」。食欲を抑える働きがあるとされ、本来とは違う痩身(そうしん)目的で処方する例が急増。必要な患者に届かない事態が懸念されている。
 国民生活センターによると、痩身目的のオンライン診療では、副作用を説明しなかったり、初診で基礎疾患の聞き取りが不十分なまま数カ月分処方したりする例が目立つ。
 インターネットサイトをきっかけにオンライン診療を受けた40代女性も、服用中の薬や持病の確認なしに、治療薬を処方された。医師は「効果のため6カ月服用して」と話したが、1カ月で頭痛吐き気などに襲われた。
 全国の消費生活センターに寄せられる相談では、副作用などを理由に返品や中途解約を申し出たが応じてもらえないとの内容も多い。ただ、医師の判断で種類や量を決める処方薬は特定商取引法などが適用できず、キャンセルすることは難しいという。
 国民生活センターの担当者は「医師が診てくれるならと期待しがちだが、説明に不安があるならやめて」と、慎重な検討を求めている。 (C)時事通信社