教えて!けいゆう先生

持病で複数の薬を飲む人へ
忘れがちな三つの注意点 外科医・山本 健人

 何らかの持病で、薬を定期的に飲んでいる人は多いと思います。特にご高齢者の中には、たくさんの薬を同時に服用している人も多く、ご自身で薬の種類を全て把握するのが難しいこともあるでしょう。

いつも飲んでいる薬を正確に伝えるために、お薬手帳は必ず持っていきましょう【時事通信社】

 処方薬に加えて、街のドラッグストアで購入した薬を一緒に内服している人もいるかもしれません。

 このような状況下で留意すべき三つのことを解説します。


 ◆服用中の薬を確実に伝えるには

 病院に行くと、医療者から「今飲んでいる薬」について問われるのが一般的です。

 ここで、薬の名前を覚えていない人が「赤くて丸いもの」「白くて大きなもの」など、外観の特徴を説明されることがあります。

 実はほとんどの場合、こうした特徴だけで薬を特定することはできません。見た目がよく似た薬が数え切れないほどあるからです。

 その点で言えば、たとえ実物を見せても、問題は解決しないことがあります。パッケージに入ったままなら商品名が記載されていますが、パッケージから出した状態の薬を直接袋に入れている場合、種類の特定は難しくなります。

 飲むタイミングが同じ複数の薬をパッケージから出して一つの袋にまとめる「一包化」は、飲み忘れを防ぐためによく用いられる方法です。

 飲んでいる薬を確実に医療者に伝えるには、やはりお薬手帳を準備しておくのが最も安全です(過去記事参照)。

 ◆市販の薬も忘れず伝えて

 飲んでいる薬について問われた場合は、医師から処方された薬以外に、市販の薬についても伝える必要があります。

 特に忘れがちなのが、ご自身で購入されたサプリメントや漢方薬です。気軽に買えるものでも、中には他の薬との飲み合わせが悪かったり、思いもよらぬ副作用を引き起こしたりすることがあるためです。

 処方薬以外に、市販の商品を定期的に使用しているなら、それについても伝えておくと安心です。

 ◆薬を中止するときは注意を

 病院で特定の処置や手術を受ける際、普段飲んでいる薬を事前に中止しておくよう指示されることがあります。

 例えば、脳梗塞や心筋梗塞などにかかった経験のある人は、多くの場合、血をサラサラにする薬を飲んでいます。血を固まりにくくして、血管が詰まる病気が再び起こるリスクを減らすのです。

 しかし、この種の薬を内服すると、今度は「出血しやすくなるリスク」を抱えることになります。そこで、出血を伴う処置や手術を受ける際は、事前に薬を一定期間、中止しておくことで、命に関わる大出血を起こさないよう準備するのが一般的です。

 一口に「血をサラサラにする薬」といっても、その種類は膨大です。2週間ほど前から中止が必要な薬もあれば、前日からの中止でよい薬もあります。体に入っていた薬の成分が分解され、効果が消えるまでのスピードは、薬によって異なるからです。

 中止すべき薬を誤って飲み続けてしまうと、処置や手術を延期しなければならないこともあります。医師や薬剤師から中止薬について説明を受けた際は、くれぐれも忘れないよう注意が必要です。

 薬を定期的に飲み続けている人は、以上のようなことに注意していただき、薬の情報を医療者とうまく共有していただければと思います。

(了)

 山本 健人(やまもと・たけひと) 医師・医学博士。2010年京都大学医学部卒業。外科専門医、消化器病専門医、消化器外科専門医、感染症専門医、がん治療認定医、ICD(感染管理医師)など。Yahoo!ニュース個人オーサー。「外科医けいゆう」のペンネームで医療情報サイト「外科医の視点」を運営し、開設3年で1000万PV超。各地で一般向け講演なども精力的に行っている。著書に「医者と病院をうまく使い倒す34の心得」(KADOKAWA)、「がんと癌は違います 知っているようで知らない医学の言葉55 (幻冬舎)」など多数。

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