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【岡山大学】聴覚障害者向け緊急通知音振動変換アプリ「D-HELO」の開発~災害時・緊急時の情報バリアを軽減し、誰もが安心して暮らせる社会へ~

国立大学法人岡山大学



岡山大学と情報技術開発株式会社の共同研究成果プレスリリースです。


2025(令和7)年 4月 28日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/


<発表のポイント>
- 緊急通知音を振動と画面表示に変換するApple Watch用アプリをリリースしました。
- 岡山大学×tdi(情報技術開発株式会社)による共同開発です。
- 聴覚障害者との検証実験と対話を経て改良し、一般向けダウンロード開始しました。



◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、岡山大学病院(岡山市北区、病院長 前田嘉信)聴覚支援センターの片岡祐子准教授、情報技術開発株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 三好一郎)は、富士通株式会社本多達也氏のデザインと社会共創のディレクションのもと、共同で聴覚障害者向けの緊急情報提供アプリ「D-HELO(ディー・ヒーロー)」を開発しました。

 本アプリは、Apple Watchを利用して緊急車両のサイレンの音を識別し、振動やディスプレイによってユーザーに通知する機能を備えています。

 本プロジェクトは、2022年度に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「障害者対策総合研究開発事業(感覚器障害分野)」に採択され、3年間の開発期間を経て実現しました。2023年度には、岩手県と岡山県において、聴覚障害者40人を対象とした実証実験を実施し、音の感知精度や反応時間、使用感などを検証しました。2024年10月には、サイエンスアゴラ(東京、台場)などでワークショップを開催し、ユーザーのご意見をもとに改良を重ね、2025年3月27日、アプリサイトから無料で、一般向けにダウンロード開始する運びとなりました。

 このアプリの背景には、1950年に岡山盲聾学校寄宿舎で夜中に発生した火災で16人の聴覚障害児が犠牲となった事故があります。現在も、聴覚障害者は災害や緊急時の情報入手が遅れることが多く、適切なタイミングで避難行動を取ることが困難な状況にあります。「D-HELO」は聴覚障害者のリアルタイムでの緊急情報入手を目指して開発されました。

 今後は多くの方に利用していただき意見を反映させながら、更なる改良に繋げていきます。開発を通じて、災害時だけでなく日常生活においても安全性、安心感を向上できる対策を訴求し、誰一人取り残されることのない社会の実現に貢献します。引き続き、地域中核・特色ある研究大学:岡山大学の取り組みにご期待ください。


〇聴覚障害者向け緊急通知音振動変換アプリ「D-HELO」
 https://d-helo.jp/


〇聴覚障害者向け緊急通知音振動変換アプリ「D-HELO」の開発~災害時・緊急時の情報バリアを軽減し、誰もが安心して暮らせる社会へ~〔岡山大学2025年3月定例記者会見(学長発表)〕
 【那須保友 岡山大学長】
 【佐藤法仁 副理事(研究・産学共創総括)・副学長(学事)・上級URA】
 【片岡祐子 岡山大学病院 聴覚支援センター 准教授】
 【日吉顕太 tdi(情報技術開発株式会社)ソリューション本部 AI&データマネジメント推進部 アソシエイトコンサルタント】
 【本多達也 富士通株式会社 コンバージングテクノロジー研究所 ソーシャルテクノロジー社会実装推進室 Ontennaプロジェクトリーダー】
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250327-3-2.pdf












◆片岡祐子准教授からのひとこと
 「D-HELO」は、聴覚障害者に災害や緊急時の第一報をリアルタイムで届けたいという思いで開発に着手しました。苦しいこともありましたが、当事者の期待と激励が原動力になりました。応援してくださった皆さまには本当に感謝しています。
 AIの音声認識には課題もありますが、多くの方の意見を反映しながら改良を続け、誰もが安全に安心して暮らせる社会を目指します。






◆研究資金
 本研究は日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて実施しました。


◆詳しい研究内容について
・聴覚障害者向け緊急通知音振動変換アプリ「D-HELO」の開発~災害時・緊急時の情報バリアを軽減し、誰もが安心して暮らせる社会へ~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250327-3.pdf


◆参 考
・岡山大学病院
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院聴覚支援センター
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index432.html
・岡山大学病院 耳鼻咽喉科
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index134.html
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室
 http://www.okayama-u.ac.jp/user/jibika-1/
・情報技術開発株式会社
 https://www.tdi.co.jp/company/


◆参考情報1
・【岡山大学】産官学多職種連携で挑む高齢者ヒアリングヘルスの向上方略
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002488.000072793.html
・【岡山大学】ろう・難聴者と聴者でインクルーシブ防災を考えよう 岡山大学病院聴覚支援センターの片岡祐子准教授が「サイエンスアゴラ2024」に登壇
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002698.000072793.html
・【岡山大学】「ダイバーシティ&インクルージョンフォーラム in OKAYAMA 2025」を開催
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002865.000072793.html
・「リスニング・エフォート」など、最新の聴覚・補聴研究を伝えるオンデマンド動画「きこえのミライ シーズン2」配信開始〔デマント・ジャパン株式会社オーティコン補聴器, 茨城大学,岡山大学〕~聴覚研究先進国・デンマークで収録~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002408.000072793.html
・岡山大学病院聴覚支援センターの片岡祐子准教授がバリアフリーの国際賞「Zero Project Award 2024」の最終候補に選出されました
 https://globalengagementoffice.okayama-u.ac.jp/news/2135/
・【岡山大学】岡山大学病院聴覚支援センター 片岡祐子准教授が「国際ソロプチミスト岡山クラブ賞」受賞
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001999.000072793.html
・【岡山大学】片岡祐子講師がAMED「令和4年度障害者対策総合研究開発事業(その他)(身体・知的等障害分野/感覚器障害分野)」に採択
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000668.000072793.html


◆参考情報2
・【岡山大学】文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・【岡山大学】「岡山大学最重点研究分野」を制定~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001601.000072793.html
・「デジタル田園健康特区」事業構想等を通じた地域課題解決の先駆的モデル構築に向け、吉備中央町と連携・協力に関する協定を締結
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id11133.html


〇参考動画:岡山発!災害時から聴覚障害者の「命を守るアプリ」実用化へ…安心できる暮らしを目指す“アイデア”集まる(OHK岡山放送)