医学生のフィールド
市民への医療教育、小中学の訪問授業で実践
~横浜市立大学医学部YDC~
――子どもたちの反応は。
終わった後のアンケートによると、99%が「おもしろかった」「ためになった」という、うれしい回答をいただいています。
アニメーションを豊富に使い、楽しみながら積極的に参加してくれるよう、クイズ形式にするなど、学生の視点で、工夫を凝らしています。医師や看護師ではない、自分たちと同じ学ぶ立場の者が授業を行うことで、より身近に感じられ、素直に聞いてくれるようです。
ボランティア希望者に医療に関する講義
――訪問授業の頻度は。
昨年は8月に2回、10月に1回、12月に3回の計6回行いました。最近、訪問授業を行ってほしいという学校からの依頼も増えてきているのですが、一番の問題は、小中学校の授業と、私たちの大学の授業がある時間が重なっているため、活動ができる期間がかなり限られていることです。
比較的活動がしやすいのは、夏休みとクリスマス前。他の部活を兼務する学生が多いので、土曜日は試合などと重なってしまうと、なかなか難しいのが現状です。
訪問授業以外にも、子ども向けのイベントや横浜の大学が主催しているイベントに参加して、啓発活動を行っています。
――この活動に参加して、自分の中で何か、変わりましたか。
訪問授業の活動を始めて5年ぐらいになりますが、普段の授業では教えてもらうことがほとんどで、自分が教える立場になる機会がないので、人に教えたり、伝えたりするテクニックが身に着いたと思います。
また、プレゼン資料作りも子どもたちの反応を見ながら、ブラッシュアップしていくことで、上達したのではないかと思います。教えながら自分も学べて、学習面でもよかったと思っています。
ボランティア希望者に「救急時の対応」の体験実習
◇ボランティアにも医療教育
――訪問授業以外の活動は。
19年にラグビーワールドカップ、20年に東京オリンピックがあり、今後ますますスポーツボランティアの需要が高まっていくと考えられます。そのため、19年1月にスポーツボランティアを希望する一般の方々に講習会を行いました。
第1部では「ボランティアと医療」に関しての講義、第2部では「救急時の対応」に関する体験型実習を行いました。
特にオリンピックは暑い時期のイベントなので、熱中症や脳卒中のリスクだけでなく、感染症の危険性など、ボランティア自身の自己管理や感染防御の必要性についても解説しました。参加者の満足度は高かったと思います。
YDCのメンバー
――課題や目標はありますか。
私たちの活動は大変意義のあるものだと思っていますが、学内でもまだ知られていないのが現状です。メンバーの知り合いを連れてきてもらい、活動内容を知って参加してもらうような広げ方をしていますが、もっとより多くの学生に活動を知ってもらい、学生の参加を促したいと思っています。
あと、私たち以外で同じようなことを行っている学生団体と交流して、情報交換してみたいです。この活動が全国でも広がっていくとよいと思っています。(記事の内容、肩書などは取材当時のものです)
- 1
- 2
(2019/03/08 06:00)