医学生のフィールド

より良い生活実現へ医学生の声を集めて発信
~全日本医学生自治会連合(医学連)~

 ◇医ゼミを定期開催

 ――その他には。

 山下さん
 年に2回、自治会交流集会というものを開いています。自治会に参加する人、自治に興味のある人が毎年40人ほど集まって、各自の大学の問題について意見を交換して解決法を探り合ったりします。

 各自治会の活動報告、講演会などをすることもあります。18年は中国・四国地方の自治会活動がさらに盛り上がるように、と11月に岡山で開催しました。

不正入試問題の調査結果について厚生労働省で記者会見した=2019年3月12日

 あと、定期的に全国医学生ゼミナール(医ゼミ)を開催しています。19年は62回目で8月14~17日に山梨で開催します。さまざまな企画があり、講演会はその一つです。18年は医師の働き方がテーマだったので、講演会でも講師に、医師の働き方について活動している方たちをお呼びしました。

 医師の労働組合「全国医師ユニオン」の代表である植山直人先生、夫を過労死で亡くされた中原典子さん、自身の診療所で「タスクシフト」を実践している安井佑先生です。タスクシフトとは、医師以外でもできる仕事をアシスタントに頼んで、医師の仕事の負担を軽くすることです。講師の方たちと伊東でパネルディスカッションを行いました。

 医ゼミでは、「分科会」という、自分の興味のあることについて学生が発表する場もあります。分科会のテーマは、それぞれが学んでいること、興味のあることなので、三者三様です。例えば、催眠術をどうかけるかとか、野菜ジュースの成分や栄養素を比較するなどです。

 さらに、医学連のメンバーが調査・分析したものを発表する「学生発表」や、参加者を地域別、学年別に分けて、交流会を行ったりもしています。

 ◇要求が形になる面白さ

 ――医学連に入ったきっかけは。

 山下さん 先輩から教えてもらったのがきっかけです。入ってみたら、自治活動って、ものすごく楽しいと思いました。常にアンテナを張り、これも学生の要求じゃないかとか、これも伝えたいとか、発信するテーマが見えてきます。

 例えば、地域枠学生は、あまり制度や卒業後の将来について説明を受けたことがなかったそうです。地域枠の人が誰かも曖昧で、相談する相手もいない状態だったので、学生時代から地域医療を一緒につくる仲間と歩める地域枠制度にしたいと思いました。

 地域枠の学生を対象にアンケートを実施し、その声を学校と県に届け、最終的に自治会と県主催で地域枠学生の交流会を企画しました。そういった学生の要求が形になったり、実現したりすることは大変面白く、自治活動の魅力を感じました。

 私が委員長になったのは、自分の成長につながると思ったからです。自治とは何か、が最初は分からなかったのですが、活動をしていくうちに、肌で感じるようになると、どんどん楽しくなり、自治ってものを、もっと知り、自治活動をしている全国の人とともに成長したいと思いました。

定期全国大会でのグループディスカッション(医学連提供)


 伊東さん 組織を知ったきっかけは「医ゼミに参加する会」に入ったことでした。1年生の時に医学のことだけじゃなくて、介護、福祉のこととか、何かもっと広い知見で学びたいなと思って、その学習サークルに入ったんです。

 そのメンバーとして医ゼミに行ったら、すごく面白くて。医ゼミで学んだことを持ち帰って、メンバーで深めるのが楽しかったです。医学生の声を現実にする、というところが一番魅力的でした。例えば、電子レンジが教室から遠いから、温めに行くのが面倒くさい、みたいな小さなつぶやきでも、「じゃあ、自治会で電子レンジを買おう」ということで、実現できます。

 ◇考える文化の推進

 ――今後の抱負をお願いします。

 山下さん 医学生が声を上げることは少なく、メディアで取り上げられることも、あまり多くありません。当事者として自分たちがもっと声を上げていく必要があると思います。医学生の声を社会に届けて、医療課題が改善されることは、患者さんにとっても、適切な医療を受けられることにつながるのではないかと思います。

 私は今まで全国のことで手がいっぱいだったので、今後は少し自分の大学のことにも力を入れていこうかと思っています。

 臨床実習について、今年できなかったアンケート調査をして、もっと参加型実習にしていきたいです。

 伊東さん 現時点で、全国の3分の1弱の医学部が加盟しているので、その数を増やす活動をしたいです。それぞれの大学での困りごとは、その大学の地域性とか、大学の制度や学生によるものだったりとかするので、解決するために議論したり、どうしたら、もっと良くなっていくのかを考える文化を推進したいです。医学連に参加したいと思ってくれる大学が増えたらうれしいですね。



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