医学生のフィールド
外部と交流深め、社会を学ぶ場つくる
~医師のキャリアパスを考える医学生の会~
◇チーム医療考える1泊2日の夏季キャンプ
―具体的な活動としては何をしていますか。
徳山さん 大きなものとしては、主に二つあります。一つは、千葉県の亀田総合病院でのサマーキャンプ、もう一つは放射線医学セミナーです。
サマーキャンプは今年が10回目になります。毎年、亀田総合病院と開催しています。
参加人数は約半分が医学生、他は看護、薬学、放射線、栄養、ソーシャルワーカーなど、医療系の学生で、およそ40人です。参加者の出身大学は東北大学、久留米大学、浜松医科大学など、かなり全国的に広がり、海外からも北京大学や、最近では東欧の大学からも来てくれます。チーム医療について考える1泊2日のプログラムです。
プログラムの準備は大変です。上級生が卒業してしまったので、今後は運営の人数を増やす活動もしていきたいですね。
―プログラムの内容を具体的に教えてください。
徳山さん 毎年5人くらいのチームでワークショップをします。チームの中では本来自分の専門でない役割が与えられます。医師、看護師、患者さんやその家族の役割もあります。
その後、患者と医療者のコミュニケーションなど、テーマに沿った課題が提示されます。例えば、患者さんと医療者の間で、在宅、病院のどちらで治療すべきかの意見が分かれている、といったシチュエーションをつくります。
チーム内で議論を深め、患者にとって一番いい選択は何かを考え、最後に各チームで発表します。自分の専門でない立場から考えると、新しい気づきが必ずあります。
◇他職種の役割学び、貴重な経験に
―新しい気づきですか。
徳山さん 医学部以外の学生が医師の役割をやると、医学部生では思いつかないことをするんです。看護学生だと医学生では考えられないぐらい、丁寧に患者の話を聞いてあげる。患者とどう関わるかに、職種間で違いが出るんですね。いいと思ったところを吸収できるので、毎回勉強になります。自分の職種の役割をしている他の人を見るのも面白いですね。
―参加してみてどうでしたか。
ワークショップだけでなく、ゲストを招いた講義の受講や亀田総合病院内の見学もします。この病院は患者さんと医療者の動線が異なるようにするなど、患者さん思いの病院づくりをしています。患者さんの目線で病院を見たりすることはなかったので、貴重な経験になりました。
参加者同士の交流も大事にしているので、バーベキューをしたり、鴨川シーワールドに行ったりもします。
◇放射線医学の講義、工学部の学生も参加
―放射線医学セミナーとは?
徳山さん これは毎年内容が変わりますが、公益財団法人医用原子力技術研究振興財団と共催のイベントです。2018年は東芝と、東京女子医科大学にも協力していただきました。こちらは講義中心のプログラムです。
1日目は東芝エネルギーシステムズで、重粒子の放射線治療とその装置の知識などを講義で教えていただきました。2日目は東京女子医大で、放射線腫瘍学講座の先生から、放射線治療に関する講義をしてもらいました。
参加者は医療系学生と工学部の学生です。工学を勉強して、人を救うために医療の現場に還元しようとしている参加者のモチベーションの高さにはいつも驚かされます。僕らも医学のことについて話すことで、お互いが疑問に思っていたことがみるみる解消されていくのが分かりました。
(2019/06/18 17:00)