治療・予防

まぶたや顎が腫れる―IgG4関連疾患
臓器にこぶ、がんと混同される例も

 左右のまぶたや耳の下、顎の下などが腫れる「IgG4関連疾患」。顔面だけでなく、全身のさまざまな臓器が腫れるなどの異常が見つかる場合が多い。医師の間でも認知度が低いため、がんと間違われて手術されるケースもあり、的確な診断と治療を受けることが大切だ。

 ▽あらゆる臓器に出現する可能性

 人間の体の中には、外部から侵入した病原菌などの異物と結合して排除する抗体がある。抗体の主な成分は免疫グロブリンというタンパク質で、最も多く存在するのが「IgG」である。IgG1~4の4種類あるが、IgG4は全体の数%にすぎず、働きもよく分かっていない。リンパ球とともにIgG4を作る性質を持つ細胞(IgG4陽性形質細胞)が、全身のさまざまな臓器や組織に入り込み、炎症を起こして腫れたり、組織が分厚くなったりするのがIgG4関連疾患だ。

 炎症を生じる場所が、涙を分泌する涙腺ならまぶた、唾液を分泌する唾液腺なら耳の下や顎の下が腫れてくる。同時に、肺、腎臓、膵臓(すいぞう)、肝臓、前立腺などの臓器の一部が腫れ、こぶ(腫瘤=しゅりゅう)を作ることもある。

 ▽ステロイドが奏功

 全身性の病気であることを、2003年に世界で初めて明らかにした東京都立駒込病院(東京都文京区)の神澤輝実院長は「がんと間違えて手術で切除された膵炎の組織を詳しく調べた結果、この病気が発見されました。大半の患者は薬で症状が改善するので、適切に診断してもらうことが大事です」と話す。

 神澤院長によると、IgG4関連疾患の診断は、次の三つの条件を満たすことが基本となる。〔1〕一つあるいは複数の臓器が腫れたり、組織が厚くなったりする〔2〕血液中のIgG4の値が1デシリットルあたり135ミリグラム以上〔3〕病理検査でIgG4陽性形質細胞が増加している―。この病気の第1選択薬はステロイド経口薬で、よく効くことから診断の助けにもなるという。

 「ステロイドは最初多めに使いますが、長く使用していると骨粗しょう症や糖尿病などの副作用が表れます。そのため、効果が見られたら徐々に減らす必要があります。効果が得られない場合には、アザチオプリンという免疫抑制薬も使います」と神澤院長。一方、海外では悪性リンパ腫の治療薬であるリツキシマブがIgG4関連疾患の治療に使われており、神澤院長は「高い有効性が得られており、日本でも使用が望まれています」と期待を寄せる。(メディカルトリビューン=時事)

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