話題

子宮頸がんワクチン接種
自治体が対象者への通知開始

 ◇クリニックで接種続ける

 いすみ市内で小児科クリニックを開業し、HPVワクチンに関する学習会を開催するなど接種を推進してきた黒木春郎医師は、積極的推奨が中止された以降も希望する児童や生徒にこのワクチンの接種を続けてきた。

黒木春郎・外房こどもクリニック院長

黒木春郎・外房こどもクリニック院長

 黒木医師は「この通知発行後に、ワクチン接種を受けた人やクリニックに問い合わせてきた保護者もいる」ことから、今回の通知の反応が出始めている、と分析する。その上で「子宮頸がんは、ワクチン接種対象となっている児童生徒の保護者にとっても、発病率の高いがん。がん検診受診も含め、親子で考えてもらうきっかけにもなるはずだ」と期待する。

 一方で、問題になっている接種による副反応に付いては「接種部位のはれや痛みは、頻度や症状も他のワクチンとそれほど違いはない。しかし、インフルエンザなどの皮下接種と比べて痛みが強く出る筋肉注射なので、痛み自体やそれに対する緊張や不安などで失神することはある」と話す。

 ◇不安取り除く努力

 接種前に保護者と本人にワクチンや副反応について詳しく説明して不安を取り除くように努めている。「接種の瞬間も看護師が話しかけたり、筋トレ用のハンドグリップや小児向けの玩具を使って注意をそらしたりした上で、接種後30分間は失神により転倒しないように注意していればほとんど問題は起きない」

掲示されている子宮頸がん啓発の冊子=外房こどもクリニック

掲示されている子宮頸がん啓発の冊子=外房こどもクリニック

 その上で「思春期の女性は心身共に不安定な傾向が強く、接種時にはある程度の配慮が必要。小児科や産婦人科など、この世代にある程度慣れた医療機関や医師が接種をするのが望ましい」と話す。

 ◇ワクチンによる予防重要

 HPVワクチンの接種の必要性を訴え続けていた東京大学医学部の中川恵一准教授は「確かに失神や一時的な痛みなど、このワクチン接種にも副反応はある。しかし、接種をめぐる訴訟などで問題とされた全身の慢性疼痛や認知機能低下の症状とワクチンとの因果関係は厚生労働省が設置した研究班の研究や名古屋市で実施された調査などで否定されたと言える」と指摘する。

 その上で「子宮頸がんは毎年3000人の患者が亡くなっている上、助かっても手術などで妊娠機能を失ってしまう」と説明し、ワクチンによる予防の重要性を強調している。(喜多壮太郎・鈴木豊)

用語説明(1) 子宮頸がん
 膣から子宮へつながる子宮の入り口(頸部)に発病するがん。ほとんど自覚症状がない上、多くのがんが高齢になって発病率が高まるのに対して、20~30代に患者が急増。同年代の女性では一番患者の多いがんとされる。ほとんどは、HPVの患部への継続的な感染が、発病の引き金になるとされている。
用語説明(2) HPV薬害訴訟
 HPVワクチンの接種を受け、深刻な健康被害を受けたとする10~20代の女性100人以上が、健康被害の補償や治療法の開発などを求めて国とワクチンを製造したメーカー2社を被告として係争中だ原告側弁護団は、主要な副反応として、激しい頭痛や関節痛、全身の運動機能障害のほか、倦怠感や学習・記憶障害などを上げている。

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