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病院に行く時は、お薬手帳の持参が必須です。特に、処方されている薬の種類が多い高齢者の場合、全ての薬の名前をそらで覚えておくことは困難です。しかしお薬手帳があれば、わざわざ暗記する必要はなくなります。
病院に行くときは、必ずおくすり手帳を持っていきましょう
◇「既往歴」暗記は大変
時に薬をそのまま持参される方がいますが、薬そのものを見ても薬の名前が分からないことはよくあります。飲んでいる薬を医師に正確に把握してもらうために、お薬手帳は受診時に必ず携帯してください。
医師は、患者さんが飲んでいる薬の内容を見て、飲み合わせなどを調べた上で新たに処方する薬を選びます。薬の飲み合わせが悪いと、予期せぬ副作用が現れるリスクがあるからです。これを「相互作用」と呼びます。こうしたリスクは、お薬手帳の持参によって回避できます。
さて、ここまでは誰もがよくご存じでしょう。「何を今さら」と思った人も多いはずです。実は、医師の立場から見ると、お薬手帳の効能は「飲み合わせを知ること」だけではありません。お薬手帳には、もっと重要な情報がたくさん含まれているのです。
病院を受診した患者さんに、医師はまず「既往歴」を尋ねます。既往歴とは、「これまでにかかった病気」や「現在治療中の持病」のことです。この数が多い人にとって、全てを暗記し、医師に説明するのは大変です。
◇自覚がない生活習慣病
ご高齢の方は特に、さまざまな持病を持っていて、同時に複数の病気を治療中、ということが多いはず。特に問題となるのが「自覚症状のない病気」です。
私たちが「何か治療中の病気はありませんか」と尋ねると「何もありません」という答えが返ってきたのに、お薬手帳を見ると、高血圧と糖尿病と脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の数値が高い病気)の薬をたくさん飲んでいることが分かる、というケースはよくあります。
これらの生活習慣病は、ほとんどの場合、自覚症状がありません。症状がないにもかかわらず、値を基準範囲に維持しておかなければ気づかないうちに体をむしばんでいく、というのが生活習慣病の怖いところです。
症状がない病気の場合、患者さんにとっては「治療中である」という意識を持ちづらく、思わず医師に伝え忘れてしまうことがあります。しかし、お薬手帳を持っていればどうでしょうか。私たちは処方された薬を見るだけで、病気の存在を容易に知ることができるのです。
◇「どの程度悪いのか」
病気があるかないか、だけでなく、病気によっては薬を見るだけでその重症度が分かることもあります。例えば、同じ糖尿病でも、1種類の内服薬を飲んでいるだけの人もいれば、複数の種類の内服薬を組み合わせて飲んでいたり、注射薬を使用していたりする人もいます。
生活習慣病に限らずどんな病気であっても、処方された薬の内容を見れば、その病気が「どの程度悪いのか」を医師はイメージできるのです。自分のかかっている病気の詳細を専門知識のない患者さんが全て自力で説明するのは難しいことです。この説明を「お薬手帳に任せられる」と考えると、その有用性はよく分かるでしょう。
◇処方した医師の意図
さらに、お薬手帳には、処方した医療機関の名前や医師の名前が書かれているのが一般的です。これを見ることで私たちは、かかりつけの医療機関を知ることができるとともに、その医師がどんな意図で治療しているのかを推測できます。
後に私たちがその医療機関に紹介状を書かねばならなくなった時、お薬手帳から推測された治療方針が参考になります。この点も、お薬手帳の隠れた効能と言えるでしょう。
お薬手帳には、診療に役立つ重要な目的がたくさんあります。普段から必ず持参することを心がけてください。時に薬局や医療機関ごとに複数のお薬手帳を持っている患者さんを見かけます。情報が分散して危険ですので、必ず一冊に統一するようご注意いただきたいと思います。(医師・山本健人)
(2019/11/27 07:00)
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