治療・予防

慢性腎臓病の合併症―腎性貧血 
加齢に伴いリスクが増加

 慢性腎臓病の患者数は1330万人、成人の8人に1人といわれ、高齢化が進むにつれ、ますます増えていくと予測されている。慢性腎臓病の合併症のうち最も注意が必要なのが、腎臓機能の低下に伴って起こる腎性貧血だ。東京慈恵会医科大学付属病院の山本裕康副院長(腎臓・高血圧内科教授)は、「腎性貧血を起こすとさらに腎機能が悪化し、ますます貧血が進むという悪循環に陥ります。初期のうちは自覚症状に乏しいため、健診などで腎機能の低下を指摘されたら、速やかに医療機関を受診してください」と注意喚起する。 

血液検査で腎機能の低下が分かったら、早めに医療機関を受診して

 ▽腎臓が酸素濃度を調整

 腎臓の機能が低下すると、なぜ貧血になるのか。人間の体に必要な酸素は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質によって全身に運ばれる。血液中のヘモグロビン濃度が正常より低くなると、全身に十分な酸素が運ばれず虚血状態になる。貧血は、出血のほか、赤血球をつくれなくなる骨髄の病気などでも起こるが、これらの原因がない場合は腎性貧血を疑う。

 腎臓には血液をろ過して老廃物や不要な水分、塩分を尿として排出する以外に、血液中のヘモグロビン濃度をコントロールする司令塔としての役目もある。ヘモグロビン濃度が適正かどうかをチェックして、骨髄に血液をつくるよう伝えるエリスロポエチンというホルモンを腎臓でつくっているのだ。腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンが不足し、骨髄への指令が出せず、血液をつくれなくなって腎性貧血を起こす。

 山本副院長は「貧血になると、だるさや息切れなどの症状が表れるが、女性は月経などで貧血に慣れているため、腎性貧血に気付かないことも多いです。また、糖尿病があると腎性貧血のリスクが高まります。出血や骨髄の病気がないのに貧血が起きた場合は、腎臓に原因があるかもしれません」と説明する。

 ▽早期治療で腎機能保護

 血液検査でヘモグロビン濃度が正常より低く、腎機能の低下を示す血清クレアチニン値が基準値を超えている場合は、腎性貧血が疑われる。

 治療は薬物療法が中心で、不足したエリスロポエチンを補う。現在使われているのは皮下または静脈内の注射薬だが、エリスロポエチンを増加させる飲み薬も開発され、2019年11月から新薬の発売が始まった。

 「治療によって、貧血症状をコントロールするだけでなく、腎臓を守ることもできます。会社の健診などで血液検査の異常を指摘されたら、結果を無視せず早めに医療機関を受診してください」と山本副院長は呼び掛けている。 (メディカルトリビューン=時事)

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