Dr.純子のメディカルサロン

この時期のジョギングはコロナと熱中症の両方に対策を 第48回

 新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の外出自粛が続く中、運動不足解消でジョギングやウオ―キングをしている人を見かけます。そうした人たちの中には、私から見て「大丈夫かな」と心配になる人がかなり多いのです。

 これからの時期、気温が上がったり、気温はそれほどでなくても、湿度が高かったりする日は、ジョギング中の熱中症のリスクが高くなります。

東京都の小池百合子知事は、大型連休を含む4月25日~5月6日を「いのちを守る ステイホーム週間」として、徹底した外出自粛を呼びかけた。写真は駒沢オリンピック公園での散歩やジョギングの自粛を求める張り紙=2020年4月25日【時事通信社】

東京都の小池百合子知事は、大型連休を含む4月25日~5月6日を「いのちを守る ステイホーム週間」として、徹底した外出自粛を呼びかけた。写真は駒沢オリンピック公園での散歩やジョギングの自粛を求める張り紙=2020年4月25日【時事通信社】

 特に、感染予防でマスクをかけていますし、ジョギング中、水を飲むことは、汚れた手でボトルのキャップを開けるなど、リスクがあるので、怖いと思うのでしょうか、飲料水を持たずに走っている人がほとんどです。

 これは大変に危険です。

 ◆ジョギング中は口を覆うべき

 ジョギング中のマスクは息が苦しくなるので、かけたくない、かけないという人もいます。

 しかし、呼吸が荒くなると、もしその人が感染している場合、飛沫(ひまつ)で周囲に感染を広げる危険があります。

 新型コロナ感染の場合、無症状だと、ジョギングができてしまうこともありますから、やはり口を覆うことは必要です。

 周囲に人がいる場合や、歩いている人を追い越すとき、すれ違うとき、マスクをしないと、近距離で吐く息の飛沫をかけてしまう危険があります。

 しかし、一方で、マスクをしていると、喉の渇きに気がつきにくくなり、知らないうちに熱中症になる危険があります。

 ◆乾いた時はもう脱水進行中

 喉が渇いたな、と感じたときは、すでに体に占める水分の2%程度は失われている、といわれています。

 つまり、すでに脱水が進行しているわけです。熱中症の初期のサインを見逃さないでください。

 次のような症状に気がついたら、ジョギングを中止して、風通しがいい日陰で休憩を取り、水分と塩分を補給することが必要です。

 〇めまい
 〇立ちくらみ
 〇顔がほてる
 〇汗が、拭いても拭いても止まらない
 〇筋肉痛

 ◆ゼリー状経口補水液は便利

 それでも、実際、ミネラルウオーターのボトルを持ちたくない人のために、次のような対策を考えてみました。

 1.ジョギングする前に水分補給をしておく
 2.ジョギング中はマスクの代わりに「バフ」などを利用する
 3.経口補水液のゼリーを持参:ジョギング中もかさばらず少量ずつ水分補給しやすい
 4.通気性のいい素材のウエアを選び、特に首周りの通気性をよくしておく
 5.暑い日は小さな保冷剤で経口補水液を包み、飲む時は保冷剤で首周りを冷やしておく
 6.体調が悪い日や睡眠不足の日はジョギングを控えるか、ウオーキングにする

 脳梗塞が増加する季節

 新型コロナウイルスに関しては、まだ分からない部分がたくさんあります。

 最近では、比較的若い世代の人が感染すると、心筋梗塞や脳梗塞などを起こしやすいという報告もされています。

 いずれも、血管内の凝固が問題で、血栓を作りやすいことが要因になります。6月からは、脳梗塞が増加する季節です。

 こうしたさまざまな背景を考えると、脱水状態を予防しておくことは、熱中症をはじめ、脳梗塞なども含めて、病気の予防には不可欠です。

 水分補給には、気を配ってほしいと思います。

(文 海原純子)



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