教えて!けいゆう先生

「手術時間」によくある誤解
外科医が伝えたい二つの注意点

 患者さんとご家族に手術の内容について説明する時、ほぼ必ず聞かれるのが「どのくらい時間がかかるか」です。ご家族の方は手術の間、待合室で待っていなければなりません。1日の予定を立てる上でも、大体の目安を知っておきたいと思うのは当然でしょう。1時間程度で終わるような手術と10時間もかかるような手術では、心構えも違ってくると思います。

 手術時間については、ぜひ知っておいていただきたいことが二つあります。

手術時間はあくまで目安

 〔1〕あくまで目安

 術前の説明の際に伝える時間は、一般的には過去の症例から導かれた平均的な数値です。あくまで目安ですから、予想以上に時間がかかることもしばしばあります。

 同じがんの手術でも、おなかを開くと予想以上に進行していた、と分かるケースは少なくありません。進行度は術前のさまざまな検査によって予想され、進行度によって想定される手術時間は変わるのですが、術前検査も万能ではありません。

 術前検査で検出できなかった異常が手術中に見つかったり、想定された以上に病変が大きかったりすることもしばしばあります。

 ◇長くなったり短くなったり

 病変そのものは予想通りであっても、患者さんの体格や血管の走行、組織のもろさなど、さまざまな理由で手術の時間は予想より長くなったり短くなったりします。

 待っているご家族からすれば、予想より手術が長引いていると不安で仕方ないと思いますが、「手術時間は目安にすぎない」ということを事前に知っておくと、少しは気持ちが落ち着くでしょう。

 むろん、予想と大きく異なった場合は、途中で手術を中断してご家族に説明しに行くこともあるのは事実ですが、これはまれなケースです。

 〔2〕「難易度」と必ずしも相関せず

 手術の中には、1時間以内の短いものもあれば、10時間や15時間といった長時間にわたるものもあり、大きな幅があります。

 10時間や15時間かかる手術となると、「かなり大変そうだ」「難しそうだ」と思われる患者さんは多いでしょう。一方で、1時間程度の短めの手術に対し、「簡単そうな手術だ」と感じる患者さんも少なからずいます。

 しかし、たとえ短い時間の手術であっても、必ずしも「難易度が低くリスクも小さい手術だ」とは限りません。あくまで「工程が少ない」のであって、短い手術でも大きなリスクをはらむものはあるからです。

 従って、手術時間の長さにかかわらず、手術のリスクを十分に理解し、手術によっていい結果が得られるよう患者さん側も入念に準備をしておく必要があるのです。

 手術前に必要な準備については、以前のコラム「手術の『成功』は何で決まる? 大切な術前準備と術後管理」をご覧いただければ幸いです。(外科医・山本健人)

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