足の悩み、一挙解決

日帰りでできる巻き爪、陥入爪の手術(足のクリニック表参道 山口健一医師) 【PART2】第5回

 ◇各段に進歩した治療法

 巻き爪や陥入爪を治したいけれど、できれば手術は避けたい―と思っていませんか?

 「とても痛そう」「何週間も入院しなければならない」「術後は車いすが必要」「普通に歩けるようになるまで何カ月もかかる」―。こんなイメージを持つ人も多く、過去にそうした経験をしたという話を患者さんから直接聞くこともあります。さらには、「手術を受けたら爪が細くなってしまった」「手術したのに痛みが消えない」「何度も手術を繰り返している」など、残念な体験談もときどき耳にします。

 巻き爪や陥入爪の手術は、日帰りでできますし、入院して仕事や学校を休む必要もありません。麻酔の方法を工夫すれば、痛みは最小限に抑えられます。昔と比べて治療法は格段に進歩していますので、手術に対する古いイメージを払拭(ふっしょく)していただけたらと思います。

日本で最も普及している手術方法

日本で最も普及している手術方法

 ◇手術をした方がいいのは、どんなケース?

 もちろん、必要のない手術は避けなければなりませんが、手術をした方が生活の質が大幅に高まる場合もあります。積極的に手術をした方がよいのは(1)巻き爪で痛みがあり、ワイヤ矯正(VHO)を何度か行ったものの、再発してしまった(2)爪の脇に傷ができて炎症が起きている陥入爪で、飲み薬や軟こうで炎症を抑えても、痛みが2カ月以上続く(3)指の幅に対して爪の幅が広いオーバーサイズネイルで、爪の脇に炎症を繰り返す―などのケースです。

 実際、手術をした人からは「こんなことなら、もっと早く手術すればよかった」と言われます。

 ◇さまざまな工夫で痛みを最小限に

 では、当院で行っている巻き爪、陥入爪の手術についてご説明します。
手術方法は日本で最も普及しているフェノール法という方法で行います。入院の必要はなく、外来で行う日帰り手術で、所要時間は約20分です。

 【爪切り、爪削り】伸びすぎた爪や分厚くなった爪の状態のまま手術をすると、繊細な手術の妨げとなるため、手術前に爪切りと爪削りを行います。

 【爪の幅を決める】手術前の段階で、爪のどの部分をカットし、どこまでを残すか、幅を決めておきます。切り過ぎると爪が極端に細くなってしまい、元に戻すことはできないので、この事前の準備は細心の注意を払って入念に行います。

 【局所麻酔をかける】指先に麻酔すると聞いただけで痛そうなイメージをもつ人が多いようですが、工夫すれば、ほとんど痛みを感じずに麻酔をかけることができます。

 まず、指の付け根の皮膚の表面に冷却スプレーをかけ、一瞬感覚を鈍らせます。その部位に針を刺し、麻酔薬を注入して、指全体をしびれさせます。痛みを感じるのは針を刺すときではなく、麻酔薬を注入するときなので、急に勢いよく入れず、細い針を使って時間をかけてゆっくり入れるようにしています。足の裏側は痛みを感じやすいですが、甲の側は痛点が少ないため、場所を慎重に選んで注射すれば、ほとんど痛みを感じることなく麻酔がかけられます。自分の指でいろいろ試してみて、見つけ出した方法です。

 【余分な爪をカット】巻き爪治療専用の小さいハサミを縦に入れ、切り取る部分のパーツを分け、丁寧に巻いている爪の不要な部分を根元から必要最小限でカットします。

 【爪母(そうぼ)細胞を不活化】フェノールという、昔、消毒液として使われた液体を綿棒に含ませ、爪の根元の下にある爪母細胞に塗布して不活化させ、そこからは爪が生えてこないようにします。このとき、フェノールをしっかりと爪母に押し付けることが重要です。

 【仕上げ】ステロイド薬のローションを含ませたガーゼを傷にあて、出血が止まったのを確認してからばんそうこうを巻きつけます。

 【足のクリニック】陥入爪(巻き爪)の治療

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