足の悩み、一挙解決
日帰りでできる巻き爪、陥入爪の手術(足のクリニック表参道 山口健一医師) 【PART2】第5回
サッカー少年
◇手術後1週間でサッカーができたケースも
手術後の経過観察として、翌日あるいは翌々日に外来受診していただきます。
そのときガーゼを取り除き、洗浄したあと、ステロイドのローションをばんそうこうに塗布して、傷に貼りつけます。
術後1週間はシャワーのみOK。プール、温泉など長時間水につかるものは2週間、スポーツも2週間を目安に控えるようにします。通常の靴下や靴は履いても問題ありません。
先日も陥入爪の痛みのため、半年間サッカーができないというサッカー少年が受診しました。近くの皮膚科に半年通って、液体窒素で患部を焼いたり、抗菌薬の軟こうを塗ったりしてもよくならずに困っていたそうです。
部活動に半年も参加できない状況は、本人にとっては大きな損失です。手術を提案すると、保護者の方はずいぶん心配しました。手術をすると爪が狭くなるなど、悪いイメージをもたれていたようでした。きちんと説明した結果、納得して手術を受けていただけましたが、結果的に術後1週間でサッカーの練習に参加できるまで回復しました。
回復のスピードには個人差があるので、誰でも術後1週間でスポーツができるわけではありませんが、少なくとも手術後半年も部活ができないということにはなりません。早めに手術に切り替えたほうがよい典型例でした。
◇治療経験の豊富な医師を選ぶ
巻き爪・陥入爪の手術は、医師によってやり方がずいぶん違います。「手術は失敗すると、こうなります」と極端な写真を見せて、テーピングを勧めるところもあると聞きます。確かに巻き爪や陥入爪の手術は非常に繊細な手技を必要とするため、医師によって得手不得手はあるかもしれません。
私が足のクリニックに就職したとき、桑原院長から「まずは200足診てください」と言われました。症例を積み重ねることで、さまざまな経験を増やし、患者さんから一つひとつ学んでいくしかないのです。私の感覚では、1000人、2000足診れば、どんなケースにも対応できると思います。手術を受けるときは、そのクリニックのホームページなどで巻き爪や陥入爪の手術に熱心に取り組んでいるかどうかを確認してから行くといいでしょう。
山口健一医師
山口 健一(やまぐち けんいち)
2002年 東京医科大学卒業
2009年 たちばな台クリニック形成外科
2013年 足のクリニック
2016年 爪と皮膚の診療所、形成外科・皮膚科開院。
日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本皮膚科学会会員、フスウントシュー・マスターフスフレガー、ドイツ式巻き爪ワイヤVHO認定医、ペディグラス認定足爪補正士、オーソペディック・シューマスター。
(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)
全国から患者が殺到するクリニック
「足のクリニック表参道」院長。2004年埼玉医科大学医学部卒業。同大学病院形成外科で外来医長、フットケアの担当医として勤務。13年東京・表参道に日本では数少ない足専門クリニックを開業。専門医、専門メディカルスタッフによるチームで、足の総合的な治療とケアを行う。
日本下肢救済・足病学会評議員。著書に「元気足の作り方 ― 美と健康のためのセルフケア」(NHK出版)、「外反母趾もラクになる!『足アーチ』のつくり方」(セブン&アイ出版)など。
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(2020/11/25 05:00)
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