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気分を変えたい休日にピッタリ  
~外山滋比古さんの名著「ユーモアのレッスン」~ コロナ禍にちょっと一息

 ワクチン接種で希望が見えてきた一方で、新型コロナ変異株による感染者が増え、すっきりしない気分になる日々が続いています。こんな時ちょっとしたユーモアが、職場や家庭の雰囲気を変えるものです。

喜劇王チャプリンの128回目の誕生日に、故人をしのぶ600人以上の偽チャプリンが集まった(2017年4月16日、スイス・ブベーで)【EPA=時事】

 ユーモアと言えば、外山滋比古さんの名著「ユーモアのレッスン」(中公新書)が有名です。言語学者でエッセイストの外山さんは、残念ながら昨年亡くなられましたが、コロナで気分が閉塞的になるときに、この本はお薦めです。

 ◇思いやりを込めて笑う

 外山さんは、ユーモアは自分や他人を客観的に眺めてそのおかしさを笑うことの能力や感覚が必要、と書いています。さらに、他人だけを一方的に笑う、他人を見下す、あるいは自分を卑下して相手にお世辞笑いするのではなく、自分と相手を対等の高さに置き、しかも相手に思いやりを込めて笑う時に真のユーモアが生まれ、その笑いが人を結び付ける、とされています。

 この本には、古今東西の著名な作家や学者のユーモアあふれる言葉が紹介されていて、読むうちに思わずニンマリします。気分を変えたい休日などにはピッタリです。

 その中にこんな一文がありました。

  ある博物館に、たいへん貴重なものが陳列されている。
  クリストファー・コロンブスの頭蓋骨で、二つある。
  ひとつは、こどものころのもの。
  もうひとつは、大人になってからのものだそうである。

ユーモアのレッスン(外山滋比古著、中公新書)

 ◇自虐的と攻撃的
 さて、最近ユーモアに関する論文、特にストレスとユーモアとのかかわりの研究論文が増えています。ユーモアは、医学的には、ブラック・ジョークのような攻撃性のユーモア、言葉遊び的なユーモア、自虐的なユーモアなどに分類されています。

 自分の失敗を自虐的に語るユーモアは、「こんなことしちゃった」と笑い飛ばすことで自分の気持ちを納得させ、失敗を客観的に捉えることでストレスからの回復に役立つと言えます。

 あの人もこんな失敗をするんだ、と思って話を聞くと、親しみが湧くことがありますよね。日本人は自分を卑下する傾向が強いとされているので、こうした自虐ユーモアは多く使われます。ただし、過度に自分を卑下して自虐的になるユーモアは、好感度が低くなるとされています。

 また、年齢が上がると言葉のダジャレ、いわゆるおやじギャグが多くなるとされています。

 一方、攻撃的に分類されるものは、「きついことを言って笑いをとる」「からかう」などがあるとされており、当然ですが、周囲とのコミュニケーションを阻害して、不安を増加させるとされています。こうした攻撃性のあるものの使用頻度は、男性の方が女性より統計的に有意に高いという報告があります。
 年齢・体重を含め容姿・婚姻の有無・性別などの内容は、ユーモアにするのは避けた方がいいですね。攻撃的なユーモアは、本来のユーモアの定義からは逸脱しているようにも思えます。相手への思いやりがない言葉を、自分だけがユーモアのつもりで言っている場合もしばしばです。こうした発言はコミュニケーション不全のもとです。

 というわけで、この本で紹介されている気持ちのいいユーモアでちょっと一息いれてみてはいかがでしょう。

(文 海原純子)




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