特集

視力悪化、早期に適正対処を=増える近視、矯正法さまざま


 ◇「病的近視」は失明の恐れも

 近視にはその程度で分類する方法以外に、「生理的近視」「病的近視」に分ける方法がある。めがねやコンタクトレンズで視力を矯正すれば、生活に支障がない程度の視力が維持できる生理的近視に対し、めがねやコンタクトレンズでは視力矯正がほとんどできず、失明に至る可能性もあるような強度近視を病的近視という。


 成人の眼球は通常直径24ミリ程度の球形だが、強度近視の人は長さが27~30ミリと異常に長い。目を細めずに遠くから指を近づけてみても、眼前11センチぐらいにならないとはっきり見えない。大野教授は「病的近視は生理的近視とは全く別物で、遺伝的背景が濃厚。40歳以上の5%を占めるともされ、決して少ない数字ではない」と警鐘を鳴らす。

 目の重要な組織の大半は、眼球後方の中心部に集まっている。病的近視は後方のカップ自体が、いびつに変形することで起きる。これが網膜や視神経に対し、日常的にダメージを与え、そのうち見づらくなり最悪の場合は失明に至る。

 検査技術の進歩で子どもの近視も、病的近視なのか生理的近視なのか、早期発見がかなり可能になった。「合併症として発症するのは40代以降だが、失明に結び付く病的近視と小児期に分かったら、早い段階で適正に対処すれば失明を防げる可能性が大きい」と大野教授は話す。


新着トピックス