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ノロウイルスの季節=下痢や嘔吐、基本は手洗い

東京医科大学の松本哲哉主任教授
 ◇昔からの方法で感染防止

 原因となるノロウイルスは、自然界にさまざまなタイプが存在する。食材に付着しても増殖せず、人間の腸管内に入ってから増殖し症状を引き起こす。東京医科大学(東京都新宿区)の松本哲哉主任教授(微生物学分野)は「ノロウイルスは人工培養ができないため研究が難しい。アルコール系の消毒薬が効かない上、ワクチンや特効薬はいまだに開発されていない。このため治療は対症療法が中心で、予防や感染拡大防止には昔ながらの対策が重要になる」と話す。

 ノロウイルスの感染力は強く、ごく少量が体内に入っても発病する可能性がある。乾燥などにも強く、トイレなどでレバーや蛇口などに付着し、そのウイルスが別の人の手に付着して新たな感染者を生み出すなど、食べ物を介することなく人に感染させてしまうことも珍しくない、と松本教授は注意を喚起する。

 その上で、「患者の体内からウイルスが排出されるルートは嘔吐下痢を含む排便だけ。人体への侵入ルートも基本は口だけだ。食物自体の汚染を除けば、大半が手に付着したウイルスが口に入るので、昔ながらの流水とせっけんでの手洗いを小まめに繰り返すのが一番の予防法であり、嘔吐物や排せつ物の管理を徹底することが感染拡大を防ぐ対策になる」と呼び掛けている。(鈴木豊、喜多壮太郎)


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