教えて!けいゆう先生

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風邪が点滴では絶対に治らない理由

 私がこれまで、外来に風邪でやってきた患者さんからお願いされたことで最も多いのが、「点滴していただけませんか?」というものです。それに対して、「点滴しても意味がないので、やめておきましょう」とお答えしたことは、数え切れないほどあります。

 私以外にも大多数の医師が同じ経験をしていると思います。それでもいまだに、「風邪をひいたときは点滴をしてもらうと楽になる。早く風邪が治る」と誤解している人は多くいます。点滴をしても風邪は治りません。今回は、その理由を簡単に説明しましょう。

 ◇点滴の中身は何なのか?

 点滴する液のことを、正確には「輸液製剤」と呼びます。輸液製剤にはたくさんの種類がありますが、仮に風邪で点滴をしてほしいという方に投与するなら、選ぶのは「細胞外液補充液」と呼ばれるタイプです。

 血液と浸透圧がほぼ等しい製剤で、血管内に注入することで効果的に水分を補うのが目的です。中でもよく用いる「乳酸リンゲル液」を一例として挙げてみます。この輸液製剤の中身は、水に以下の電解質が溶けたものです。

 ナトリウムイオン
 カリウムイオン
 カルシウムイオン
 塩化物イオン
 乳酸イオン

 よってこれを、「電解質輸液」と総称することもあります。要するに、「水に電解質イオンが溶けているだけの液体」です。風邪を治す成分はもちろん含まれていません。

 ちなみに、ポカリスエットの成分も見てみましょう。

 ナトリウムイオン
 カリウムイオン
 カルシウムイオン
 塩化物イオン
 乳酸イオン
 酢酸イオン
 マグネシウムイオン

 ここに味を調整する甘味料などが含まれているだけです。内容はほとんど同じですね(含まれている電解質の種類はポカリスエットの方が多いです)。つまり、ポカリスエットで風邪が治らないのと同じように、点滴で風邪は治りません。入っているものに大差がないからです。

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