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子どもの皮膚炎「とびひ」
プールの季節は要注意


 ◇アトピー性皮膚炎などとの区別大事

 もう一点大事なことは、アトピー性などの皮膚炎との区別や、アトピー性皮膚炎と合併している場合の治療だ。特に、患部の水疱がつぶれてただれている段階だと、皮膚表面には常在菌=用語説明②=が繁殖しているため、区別が難しくなる。五十嵐部長は「皮膚炎の場合は炎症を抑えるためのステロイド軟こうなどが治療の中心になるが、これは免疫を低下させる作用があるため感染症には逆効果になってしまう。診断を誤ると、症状を悪化させる恐れがある」と話す。

 どちらの治療を優先するかは、それぞれの病気の状態などを治療に当たる医師が勘案して決める。それでも多くの場合は、皮膚炎の治療を先行させ、皮膚表面の状態を安定させると、感染症も改善することが多い、と五十嵐部長は分析している。

 ◇感染広がりやすいプール

 しばしば話題になるプールについては、水自体が塩素で消毒されているので、皮膚から離れた細菌が一緒に泳いでいる人に取りつくまで生きていることは難しい。しかし、プールでは水着姿の子どもたちがじゃれ合うなどすることが多い上、タオルを一時的に貸し借りしたり同じビート板を使ったりすることもあるので、「やはり感染が広がりやすい環境にあるといえる」と五十嵐部長は指摘する。

 「症状がある場合はもちろん、水ぶくれや発疹が消えてもしばらくは皮膚のバリアー機能は弱まっていることもあるので、治ってからも当分の間は、紫外線や消毒用塩素の刺激を避けるためにもプールの利用は控えた方が安全だろう」

 このようなバリアー機能が低下している点では、アトピー性皮膚炎などの持病がある子どもも同じだ。五十嵐部長は「アトピーの既往がなくても、兄弟姉妹に患者がいたり、本人や兄弟姉妹に花粉症など他のアレルギー性疾患の持病があったりする場合は、特に注意が必要だ。診察を受ける際にこのような情報があれば、医師に告げてほしい」と話している。

 ◇用語説明

 ①耐性菌

 抗菌薬に使われる抗生物質が効かない(感受性を持たない)特性を有する細菌を指す。特定の抗生物質に対して耐性を持つ菌から、複数の抗生物質に対して耐性を持つ菌まで存在する。治療中に耐性が認められた場合は、抗菌薬を切り替えて対処する。

 ②常在菌

 健康な状態の人体に生育している細菌で、ほとんどが宿主である人体には無害だ。皮膚表面だけでなく、腸内などにも生育している。(了)



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