CDIメディカル医療インサイト

(第6回)変革が求められる製薬業界
IT企業などとの協働がカギか

診療種類別国民医療費構成割合(厚生労働省の「2015年度国民医療費の概況」より)
 医薬品は、医療においてなくてはならない存在です。国民医療費の約5分の1に当たる8兆円(薬局調剤医療費ベース)の市場規模を有する製薬業界は、日本の一大産業です。ただ、他の業界と比べ営業利益率が高く安定的と言われる製薬業界ですが、事業環境は年々厳しさを増しています。

 医療費抑制の要請から、薬価引き下げや後発医薬品の使用促進が進むとともに、患者数の多い生活習慣病関連の医薬品開発は一巡し、莫大な利益を生むブロックバスター(新薬)が出づらい状況です。これまで継続して成長してきた国内医療用医薬品市場は、今後成長が鈍化する見通しです。

 厳しい事業環境に対峙(たいじ)し、製薬企業各社は、疾患領域の選択と集中、海外展開の加速、開発・製造・販売のアウトソース、といった対応を進めていますが、私はこれらに加えて「新たな健康支援サービスの展開」が有効な戦略になり得ると考えます。全国の医療機関と強いネットワークを持つ製薬企業が、医薬品の販売に加えて、医師と共に新たな健康支援サービスを提供することは、患者に非常に価値があるとともに、製薬企業の差別化につながるのではないでしょうか。

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