インタビュー

関節リウマチに新たな課題
全身の倦怠感や痛み

 ◇一層の意思疎通を

 自身も病歴の長い、「日本リウマチ友の会」の長谷川美枝子会長は「患者の多くは、昔からこのような痛みや倦怠感を感じていたが、なかなか医師に伝えられなかった。ようやくこの問題に目を向けてもらえた」と、今後に期待する。

「日本リウマチ友の会」の長谷川美枝子会長
 「たとえ指1本でも関節に炎症があって赤くはれていれば、一晩中眠れないほど痛い。こんな時は医師も患者が『痛い』ということは分かってもらえる」と長谷川会長。しかし、このようなはっきりした症状がなく、血液検査などでも大きな異常がなければ、患者が痛みを医師に伝えることは難しく、医師にもなかなか耳を傾けてもらえないこともある。長谷川会長は、多くの患者の思いを代弁する。

 皮肉なことに、親身になって治療に取り組み、信頼を寄せている医師であればあるほど、患者側は「この程度のことを忙しい先生に言うのはいかがなものか」「何とか強い痛みは和らげてくれているのだから」などと考え、伝えにくかったという。

 抗リウマチ薬や生物学的製剤の登場で治療が大きく変わったという点では、長谷川会長も金子講師と同じ認識だ。ただ「患者からすれば、日常生活で支援を受けずに自立したいし、仕事や家事などでも健康な人と同じように活動したいと思っている」。そのためには、全身の痛みや倦怠感などは患者にとって大きな障害になる。長谷川会長は「リウマチ治療の目標をどう設定するか。これまで以上に患者と医師の間での意思疎通が必要になってくる」と話す。(文 鈴木豊)

 ◆用語説明
(1)関節リウマチ

 免疫機能が過剰に働いて自身の体組織を攻撃して強い炎症などを引き起こす自己免疫疾患の一つ。関節を構成する骨と骨の間を包む滑膜に炎症が継続的に発生し、骨や軟骨を損傷させることで激しい痛みを伴い、関節自体の変形や破壊を引き起こす。手足の第二関節や指の付け根から起こることが多いが、手首、足首、膝、股関節などに拡大していくこともある。40歳前後の女性に多く発病し、国内の患者は推定70~80万人。
(2)寛解
 服薬などの治療の有無にかかわらず 、炎症が治まり病状の進行や再発を防ぎ続けることができる状態。治療が不要になる「完治」とは意味が異なる。対象とする疾患により詳しい定義や分類は異なる。

  • 1
  • 2

新着トピックス