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第1回 後継ぎがいないからと諦めていませんか
【開業医のためのクリニックM&A】 岡本雄三税理士事務所・MARKコンサルタンツ代表 岡本雄三

 国公立大学の医学部志願者は逓減傾向にあります。これに対し、私立大学は臨時定員増や新設によって医学部の募集枠が広がったこともあり、ここ10年余りで75%も増えているという調査もあります。

 「医師」という職業の高所得や安定性を求めて、従来医師を目指していなかった人たちが医学部を目指す傾向もあります。中小企業の後継者として育てられた子供が、親の会社を承継せず、医学部を受験する話をよく耳にします。

 ◇環境変化の一因は医学部人気

 学費が以前に比べて安くなったことも進学を後押ししているようです。私立大学医学部の中でも、最も安い大学は2017年に新設された国際医療福祉大で、学費は6年間で1850万円となっています。

 それらを反映して私立大学医学部入試の偏差値は、この30年で大学によっては20ポイントほど上がっており、かつ大学間の偏差値にあまり差がなくなってきています。これまで医師は世襲が多い傾向にありましたが、最近は医師の子だからといって、簡単には医学部に進めないのです。

 一方、子供や親族に医師はいても、クリニックを継がないことによる後継者問題もあります。身内がクリニック経営で苦労する姿を間近で見ていると、開業医に夢や希望が描けず、親のように苦労したくないと敬遠するケースがあります。

 あるいは、地方から都会の医学部に進学した後、最先端医療の現場である都会の病院で働き、都会での生活基盤ができているため、田舎に戻ってまで親のクリニックを継承することをちゅうちょするケースも見受けられます。こうした子供が現実に増えています。

 ◇もう一つの選択肢がM&A

 もう一つのパターンとして、子供が医師として一人前になるまでに、親が高齢になり、承継のタイミングまで待てず、結局、子供に承継できずに廃業を余儀なくされるケースが見受けられます。

 しかし、後継者がいないから、また、経営に疲れたからといって、クリニックを閉じなくてもよい方法があります。これまで必死に守ってきたクリニックを閉めてしまうより、大切に続けてくれる誰かに引き継いでもらうM&Aという選択肢です。

 一般の中堅・中小企業ではM&Aによる事業の承継が珍しくなくなってきており、世間の認知度も高くなっています。それに比べると、医療業界、ましてや診療所のM&Aは、まだあまり一般化していません。自分のクリニックがM&Aの対象になることを知らずに、閉院しか手がないと思っている開業医が多いのが実情です。

 ◇成功事例は次回以降に

 あるいは、M&Aの対象になることは知っていても、いざとなると「手続きが面倒ではないか」とか、「譲渡する相手など簡単に見つからないだろう」と思って閉院を選ぶ開業医もいることでしょう。

 クリニックのM&Aについては、経験のあるしっかりとした専門家に任せれば、思っているほど相手探しや手続きなども面倒ではありません。想像以上にうまくクリニックを譲渡して、ハッピーリタイアをした開業医がたくさんいます。

 次回以降、クリニックM&Aの具体的な手続きの流れ、クリニックM&Aを成功に導く六つのポイント、M&A成功事例に見る開業医のハッピーリタイア等々について解説していきます。


 岡本 雄三(おかもと・ゆうぞう)

 岡本雄三税理士事務所代表。株式会社MARKコンサルタンツ代表。税理士、行政書士、宅地建物取引士、M&Aシニアエキスパート、経済産業省認定経営革新等支援機関。
 1967年生まれ。91年早稲田大学商学部卒業。98年岡本雄三税理士事務所開設。2000年公益社団法人日本医業経営コンサルタント登録。個人医院の開業、医療法人の設立、税務など、医業コンサルティング業務のほか、一般法人の税務、事業承継、M&A支援、資産税にかかわるコンサルティング業務を手掛ける。「後継ぎがいない会社を圧倒的な高値で売る方法」「開業医のためのクリニックM&A」など著書多数。

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