Dr.純子のメディカルサロン
アジアから輸入された「はしか流行」
~強い感染力、抗体がない人は要注意~ 前田美穂・日本医科大学名誉教授
海原 合併症などを教えください。
前田 合併症は約30%に起こると言われます。その半分は肺炎で、その他に中耳炎、クループ、心筋炎、脳炎などがあります。
脳炎は1000例に1例発症するとされ、15%は急激に進行して死に至り、25%は神経学的後遺症を伴うと言われています。
また、10万例に1例程度、数年以上たって亜急性硬化性脳炎という進行性の中枢疾患を発症します。この疾患は予後が悪く、通常6~9カ月の経過で死亡すると言われています。
一度麻疹にかかると、治ってから数週間は免疫能が低下し、ほかの感染症にかかりやすいと言われます。
フィリピン、インドなどで麻疹が流行っている。写真はマニラで麻疹ワクチンの準備をする看護師=2019年2月13日(EPA時事)
◇成人の方が重症化しやすい
海原 一番気を付けなければいけない年代とかは、ありますか。
前田 麻疹は成人の方が重症化しやすいと言われています。また、高齢者はほとんどが自然罹患による抗体を持っていますが、まれに抗体を持っていない方もいます。万が一、罹患した場合は重症化しやすいと思われます。
予防接種は、1回接種では95%以上、2回では99%以上の抗体の陽転化が起こるという報告があります。麻疹の予防接種は、日本では1966年に導入され、76年に定期化されました。
当時は1回接種でしたが、2006年6月から2回接種が施行されました。また、麻疹ワクチンは単独接種でしたが、06年以降は麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)の接種に変更になっています。
ですので、1回しか接種をしていない年代の人は、かかる可能性が少し高くなります。
海原 麻疹の治療法はどのようなものですか。
前田 いわゆる対症療法以外に根本的にはありません。麻疹ウイルスにさらされた後、72時間以内に麻疹含有ワクチンを接種すると発症予防ができると言われています。
また、72時間以上6日以内であれば、ガンマグロブリン投与が検討されます。
海原 自分が抗体を持っているかどうか、ほとんどの人が知らないと思います。抗体検査をしていない場合は、予防接種をするということが、ご自分のためにも、流行を食い止めるためにも大事だと思われます。
前田 美穂(まえだ・みほ)
1978年日本医科大学卒業、84年同大学大学院修了、日本医科大学小児科助手。米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター客員研究員、日本医科大学小児科講師を経て、2000年同大学助教授、06年同大学小児科教授、08年同大学付属病院感染制御室室長兼任。18年から同大学名誉教授。
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(2019/02/27 15:05)