治療・予防 2024/11/22 05:00
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~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
梅雨入り前に各地で猛暑日を迎えた日本列島。夏本番を前に、熱中症とみられる患者が相次いでいる。以前の熱中症対策と異なるのは、高齢者や子どもだけではなく、元気な若い世代でも注意が欠かせないという点だ。熱中症に詳しい医師にインタビューした。
頸部や脇の下を冷やすのが有効
◇高齢者、子ども以外も要注意
「今年の夏も、猛烈な暑さが予想される。高齢者や小児らこれまでも熱中症対策を呼び掛けてきた世代にとどまらず、健康な若い世代や運動選手らについても十分な対策が必要になってきている。それも定期的な休息や水分補給のような予防策だけでなく、発症した際の早期の対応が求められている」
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて熱中症対策に取り組んでいる東京都医師会理事の鳥居明医師は、「熱中症対策の質の変化」をこう強調する。世田谷区内で開業している鳥居医師のクリニックにも、5月から熱中症の患者がたびたび飛び込んできた。高齢者や持病のある人だけでなく、体育館で練習していたバドミントンの選手やガソリンスタンドで働いていた健康な若い男性も含まれていた、という。
◇多くは38度以上の発熱
「多くの患者が訴えたのは、38度以上の発熱だった。中には、翌日になっても熱が下がらず、家族に連れられて来院した患者もいた。こういう患者は水分を自分で摂取できなくなったり、血圧までもが大幅に低下したりする。このようなケースは、高度救急救命施設に転送せざるを得なかった」
通常、熱中症はめまいや喉の渇きなどが代表的な症状とされている。急激に症状が悪化した場合は体温の調整が間に合わずに、38~39度というインフルエンザにかかった時のような高熱を発する。また、脱水と体の熱を逃がそうとして血管が拡張することによる低血圧を招くという、より深刻な症状に陥ることも少なくない。
鳥居医師は「血圧の高い方(最高血圧)が通常『120mmHg』以上の若い人でも、血圧が急激に低下して『100mmHg』を割り込んでしまうことは珍しくない。中には臓器に障害が生じる危険がある『80mmHg』を割り込んでしまう熱中症の患者もいる。こうなると、すぐに救急救命部門のある大きな医療機関に搬送する必要がある」と指摘する。
鳥居明・東京都医師会理事
◇普段の場所でも熱中症の恐れ
さらに問題な点がある。このような重症熱中症の危険が、温度の高い作業現場や屋外でのスポーツ試合会場などだけでなくなかったことだ。道路のアスファルトからの照り返しや、建物からのエアコンの廃熱、道路を走る自動車が発する熱などで街中の歩道や屋根のあるガソリンスタンドのような場所でも起きる可能性があることだ。
「気象庁などが気温を観測しているのは、ある程度周囲の影響を受けない安定している場所だ。そこでの最高気温が30度前後から35度前後に上がるということは、実際に人が生活する街中では、体温を大幅に上回る場面が少なくないことにつながる。このような状況では、健康な人でも少し無理をすれば重度の熱中症になってしまう」と鳥居医師は注意を喚起する。
(2019/07/04 06:10)
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