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肺が硬くなって(線維化)、弾力性を失い、空気中の酸素が取り込みにくくなる「間質性肺炎」は間質性肺疾患とも呼ばれ、一般的な肺炎とは原因が異なる。東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)呼吸器内科の宮崎泰成教授に病気の特徴や治療法について聞いた。
間質性肺炎の治療薬
肺には、肺胞と呼ばれる小さな袋がブドウの房のようにたくさん連なって存在し、その一つひとつを毛細血管が取り巻いている。吸い込んだ酸素は肺胞の壁と毛細血管の壁を通り抜けて血液に入り、逆に血液中の二酸化炭素が毛細血管内から肺胞に排出される。一般的な肺炎は、肺胞の内側が細菌などに感染して炎症が起き、せき、たん、発熱などが表れる病気だ。
一方、間質性肺炎では、肺胞の壁や外側(間質)で炎症や損傷が繰り返され、線維化が生じる。これは、傷んだ間質を修復するコラーゲン線維が残って蓄積したものと考えられている。間質が線維化すると酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなり、体を動かした時に血液中の酸素濃度が低下する。さらに進行すると肺胞がつぶれて肺活量が低下する。
症状は、たんを伴わないせき、体を動かした時の息切れ、疲れやすい、体重減少などで、慢性的に続くことが多い。進行例では、着替えなどのわずかな動きでも息切れがする。
間質性肺炎は原因によって分類され、鳥のふん、カビ、粉じんなどが関わるもの(職業環境性)、関節リウマチなど免疫の病気によるもの、原因不明のもの(特発性)などがある。さらに原因ごとに多くのタイプに分かれる。全体の患者数は明らかでないが、例えば、特発性間質性肺炎の一種である特発性肺線維症は人口10万人当たり10人と推定されている。
▽新たな治療薬が登場
間質性肺炎の薬物治療として、肺に炎症がある場合はステロイド剤や免疫抑制剤、線維化した場合にはその進行を抑える抗線維化薬が使われる。
線維化が進む間質性肺炎に昨年5月からニンテダニブという内服薬が使えるようになった。15年に特発性肺線維症に承認された抗線維化薬で、投与対象が広がった。
臨床試験では、同薬を1年間服用したグループは偽薬を飲んだグループよりも肺活量の低下が緩やかで、せき、息切れなどの症状も改善した。副作用として下痢や肝機能障害などが見られた。症状の劇的改善や治癒は期待できないが、宮崎教授は「新たな選択肢が加わった意義は大きい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/04/15 05:00)
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