治療・予防

肺の難病「特発性肺線維症」
新薬の登場で延命効果も

 「特発性肺線維症」(IPF)は、肺の組織が厚く硬くなり、肺が十分に膨らまなくなることで、次第に呼吸機能が低下し、呼吸不全に至る難病だ。完治させる治療法はないが、近年、病気の進行を抑える薬の選択肢が増えている。治療法や日常生活の注意点について、東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)呼吸器内科の本間栄教授に聞いた。

階段の上り下りで息切れが起こる

階段の上り下りで息切れが起こる

 ▽進行を遅らせることが目標に

 肺には毛細血管に囲まれた肺胞と呼ばれる小さな袋が無数にあり、そこで呼吸によって血液中に取り込んだ酸素と二酸化炭素の交換を行っている。だが、何らかの原因で肺胞の壁に炎症が起こると、その修復過程で肺胞の壁が厚く硬くなり(線維化)、酸素が取り込みにくくなって息苦しさなどの症状が出る。加齢や喫煙などが危険因子とされるが、ほとんどの例は原因不明だ。

 中高年以降の男性に多い病気で、主な症状は、体を動かしたときの呼吸困難や空ぜき。病気の進行に伴って、呼吸機能は低下し、発症後5年間で患者の半数以上が死亡する。

 根本的な治療法はなく、生活の質を維持し、病気の進行を遅らせることが目標となる。かつてはステロイドや免疫抑制薬などが用いられてきたが、2008年にピルフェニドン、15年にはニンテダニブが登場したことで、線維化の進行を遅らせるこれらの抗線維化薬による治療が中心になった。本間教授は「抗線維化薬は早い段階で治療を始めれば、進行を抑える期間が長くなる可能性があり、延命効果が期待できます」と話す。

 2剤の効果は同等だが、副作用の種類が異なるため、患者に十分に説明したうえで選択するという。
 薬物治療と並行し、在宅酸素療法や運動療法(呼吸リハビリテーション)も行われる。「呼吸筋の強化に加えて、息切れの軽減により患者さんが前向きになれます」と本間教授。

 ▽急性増悪の予防を

 IPFの患者は、風邪やインフルエンザの発症を契機に急激に呼吸機能が低下することがある。この急性増悪は、重症の人ほど起こしやすく、最大の死亡原因であるため、本間教授は「うがいや手洗いによる風邪の予防や、インフルエンザ肺炎球菌のワクチンの接種は欠かせません」と強調する。また、「早期発見・治療が大切な病気です。息切れや空ぜきが続く場合には、かかりつけ医を受診して専門医のいる医療機関を紹介してもらいましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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