治療・予防 2024/11/22 05:00
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現代人の睡眠不足が問題となっているが、子どもも例外ではない。特に自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害(神経発達症)のある子どもに顕著に見られる。これまで有効な薬はなかったが、昨年6月、子どもの発達障害に伴う睡眠障害に対する国内初の新薬「メラトベル」が登場した。治験に携わった淑徳大学看護栄養学部教授で、瀬川記念小児神経学クリニック(東京都千代田区)で診療を行っている林雅晴医師に薬の効果などについて聞いた。
メラトベルの特徴
▽睡眠障害の割合多い
生まれつきの脳の機能障害が原因で、人との交流や集団行動が苦手といった特性を持つ発達障害には幾つかのタイプがあり、ASDは対人関係が苦手で強いこだわりがある。「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」は不注意、落ち着きがないなどの特徴がある。
これら発達障害の子どもは、一般的な子どもに比べて睡眠障害の割合が高い。さらに、睡眠不足の影響から感情のコントロールや認知機能、忍耐力の低下など発達障害の症状が悪化しやすく、不登校につながる例もある。
「ASD患者の約5~8割、ADHD患者の約3~5割で睡眠障害が合併しているとの報告があります」と林教授は説明する。
発達障害患者では「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンなどの神経伝達物質の分泌が乱れやすくなると考えられている。メラトニンは夜にかけて分泌が増えて眠気を誘うが、分泌量が減ると睡眠障害を招くという。
メラトベルはメラトニンを含む製剤。海外ではメラトニンがサプリメントとして市販されており、日本国内でこのサプリメントを個人輸入するケースが多かった。今回、国内で医薬品として承認され、使用できるようになった。
▽問題行動が改善
国内の治験では、約2週間の投与で眠りに就くまでの時間が約30分短縮した。副作用として眠気や頭痛などが見られたが、重篤なものはなかった。
治験では睡眠障害の改善に伴い、問題行動への効果も示された。「興奮性、無気力、多動などの全項目での改善が認められました。日中の機嫌も良くなり、保護者や学校の先生からも負担が軽減されたとの声が多数聞かれました」と林教授。治験の服用期間は最大6カ月だったが、薬をやめた後も良好な状態を維持できた例が半数以上いたという。
ただし、薬は補助的なものであり、生活習慣の改善も併せて必要となる。朝に日光を浴びる、朝食を取る、昼間に体を動かす、夜は暗くして早く寝るなどの生活改善が重要だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/04/13 05:00)
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