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溶連菌感染後の免疫反応によって発症するリウマチ熱。しっかりと治療を行わないと、心臓に障害が残るケースもあるという。日本医科大学付属病院(東京都文京区)小児科の楢崎秀彦准教授は「リウマチ熱は日本では患者数が減ってきているため、受診する際は、溶連菌感染があったことを医師に告げると、スムーズな診断と治療に結びつきます」と話している。
38度以上の発熱に要注意
▽心臓や神経に炎症も
リウマチ熱の発症は5~15歳の小児に多い。ヒトの咽頭に感染しやすいA群β溶連菌による咽頭炎にかかり、症状が落ち着いた2、3週間後に発症する。主な症状は38度以上の発熱や関節痛などだ。
楢崎准教授は「リウマチ熱の関節痛は、膝や足首、肩、肘など、大きな関節に出やすく、時間によって痛む関節が異なる特徴があります」と説明する。心臓に炎症を起こすことも少なくない上、中枢神経に影響が及ぶと勝手に体が動く小舞踏病(しょうぶとうびょう)を起こすことも。これは、溶連菌の細胞壁にある、免疫反応を引き起こすタンパク質の構造が、人の心臓の弁や関節の滑膜、神経などに存在するタンパク質と似ているため、免疫が排除しようとするからだ。
頻度は少ないが、輪状紅斑と呼ばれる皮疹や、皮下のしこり(結節)ができることもある。「溶連菌感染が未治療の場合、1~3%の割合でリウマチ熱を発症すると言われています」
▽抗菌薬で治療と再発予防
リウマチ熱の検査は、溶連菌の感染を調べるために、喉を綿棒で拭って行う培養検査や抗原迅速検査を行う。血液検査で溶連菌の抗体を調べることもある。
治療は、ペニシリンなどの抗菌薬と、関節の痛みが強ければ、非ステロイド系鎮痛剤の飲み薬が処方される。心臓の炎症を合併している場合は、ステロイド薬の飲み薬や点滴で炎症を抑え、心電図や心臓超音波検査を行う。リウマチ熱で心臓に障害が残ると、溶連菌に再感染するたびにダメージが蓄積されてしまう。そのため、再発と増悪を予防するため、5~10年以上、ペニシリンを服用することもある。
加えて楢崎准教授は、リウマチ熱の発症予防について「溶連菌性咽頭炎は、抗菌薬を服用すると1~2日で熱が下がり症状が消えますが、リウマチ熱の発症を防ぐために、処方された薬は必ず飲み切ってください」と強調する。溶連菌感染症は春や秋に流行しやすいため、日ごろからうがいや手洗いを習慣付けることも大事だとアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/10/30 05:00)
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