心臓超音波検査 家庭の医学

 ヒトの耳には聞こえない高い周波数の音(超音波)を体表から体内に伝わらせると、一部は組織で反射して体表に戻ってきます。反射してくる超音波(エコー)は組織の違いにより微妙に異なるため、その情報を画像化して、体内の臓器・組織の形態や動きを評価するのが超音波検査です。X線検査のような被爆はなく、安全な検査で、MRIのような大掛かりな設備も必要としないため、どこでも、誰にでも、何度でもくり返し検査をおこなうことができます。
 心臓の超音波検査では胸壁にゼリーを薄く塗り、探触子(プローブ)と呼ばれる小型の超音波の送受信装置を当てて検査をおこないます。送信後、反射してきた超音波を解析することで心臓の形態異常(先天性異常、心肥大など)や、心臓の弁や心筋壁の動きの異常(心臓弁膜症心筋梗塞など)を観察し評価します。
 また、動きのある物体による反射で超音波に生じるドップラー効果を観測する、超音波ドプラ法を使うと、内部の血液の動き(血流)も観察・評価できます。これを用いると、心臓の各所の弁で生じる逆流(僧帽弁閉鎖不全症など)や狭窄(大動脈弁狭窄〈きょうさく〉など)を診断できるだけでなく、その程度を知ることもできます。

【参照】医療機器による検査:超音波検査(エコー検査)

(執筆・監修:自治医科大学 教授〔臨床検査医学〕 紺野 啓)