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旅行先の水や食べ物に含まれる細菌などが原因で、下痢などの消化器症状を起こす「旅行者下痢症」。衛生面が整っていない国に旅行する際は、特に注意が必要だ。対処法や予防策について、浜松医療センター(静岡県浜松市)感染症内科の田島靖久部長に話を聞いた。
旅行者下痢症
◇経口補水液で水分補給
旅行者下痢症の主な原因は、腸管毒素性大腸菌をはじめとする細菌によるもの。次に多いのがノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス感染で、大型客船の旅などで起こりやすい。主な症状は繰り返す下痢、差し込むような腹痛、吐き気などで、発熱や血便が見られる場合もある。
多くの場合は3~5日で回復するが、1週間以上症状が続くこともある。「症状が出たら下痢による脱水に注意し、経口補水液で水分と塩分を取ることが重要です」
次に、重症度を見極めた対処が鍵になる。軽症であれば消化の良い食事と、水分を多めに補給すれば数日で軽快する。水や食事を取れるなら中等症で、下痢止めを飲む。重症化リスクが高い場合は抗菌薬を服用して治療する。血便が出る、水や食事を取れないときは、すぐに現地の医療機関を受診する。
「暑い地域に行く際は、下痢による脱水で熱中症のリスクも上がります。粉タイプの経口補水液を持参すると安心です。必ず未開封であることを確認し、ミネラルウオーターで溶かして飲みます」
◇食べ物と手洗いで予防
食べ物に注意し、こまめに手洗いすることが予防の基本だ。「生の肉や魚介類、サラダを避け、加熱済みのものを食べ、水道水はもちろん、市販の氷も危険との認識を持つべきです。密閉容器に入った飲料なら、細菌が混入している可能性は低いです」
手洗いは、トイレの後、食事の前、動物に触れた後や食品市場を訪れた後も欠かさず行う。市場で売られている食品の中には、表面に多くの雑菌が付いているものがある。果物などはホテルに持ち帰り、携帯用のアルコール消毒液で手を消毒してから、皮をむいて食べれば下痢の予防になる。
「旅を計画する前に、厚生労働省検疫所(FОRTH)のサイトで海外の感染症の流行状況や予防法などの情報を確認し、現地では予防策を徹底して旅を楽しんでください」と田島部長は助言する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/10/26 05:00)
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