FEATURE レポート紹介

外国人が安心できる医療コミュニケーションを学びたい
=医学英語の習得目指すMESS=

東海大医学部のMESS(Medical English Speaking Society)は約40年の歴史を持つサークルだ。2017年6月時点で41人が在籍し、医学英語について学んでいる。
パワーポイントなどを使って発表、議論する

左から東海大4年の宮地真由さん、
松本佳大さん、下牧万里子さん

難解な医学英語への挑戦

 MESSの部長を務める東海大4年の松本佳大さんは「医療の現場で使われる英語は、医学英語や医療英語と呼ばれています。日常会話で使う英語とは異なり、なじみのない単語ばかり。意識して学ばないと身に付きません」と話す。
 MESSメンバーで、カナダで4年間暮らした経験を持つ下牧万里子さん(同大4年)はネーティブを思わせる発音で、日常的な英会話には支障がない。そんな彼女でも「医学英語は別物」と言う。
 東海大では1年次に医学英語の授業があるが、習得するには時間数が絶対的に足りない。優秀な医学生たちであっても難しいと口をそろえる医学英語を自分のものにしようと、MESSには学習意欲のある学生が集まっている。
 MESSでは、部長をはじめとした幹部が活動内容を決める。幹部の意向が強く反映される仕組みのため、幹部が代替わりするとサークルのカラーもかなり変わってくる。
 「僕が部長になってからは、すべての活動に英語を取り入れるようにしました。日本は日常的に英語を話す機会が少ない国です。だから、医学英語だけでなく、英語という語学に触れ合う時間をたくさん設けるようにしています」(松本さん)

パワーポイントなどを使って発表、議論する

東海大東京病院の海老原明典医師を招いて開催した、
へき地医療のセッション

MESSを通して得られる経験

 具体的な活動としては、ネパールでへき地医療に携わっている医師に講演を依頼したり、自分たちで作ったテキストに基づいて英語による問診のシミュレーションなどを行ったりしている。「興味がある先生には、つながりがなくても(講演を)お願いすることがあります。ずうずうしいですよね」と松本さんは笑うが、活動の基本は行動力だ。
 貴重な体験ができた学生も多い。下牧さんもその一人。教官の勧めで、タイで開催された保健医療の国際会議「マヒドン王子国際保健会議2017」に参加した際、下牧さんは語学力を買われて、世界保健機関(WHO)で活躍した要人の書記や議事録の作成を任されることに。「信じられないような経験でした。カナダに留学したきっかけはMESSの先輩と出会えたこと。たくさんのアドバイスをいただき、それが国際会議につながった。本当に感謝しています」と下牧さんは振り返る。

英語を通して患者さんにできること

 MESSには留学を考えている学生も多く所属している。東海大では5年生を対象に、米ハワイ大医学部の協力のもと「医学英語研修」を実施している。定員は10人程度だが、毎年、およそ半数をMESSのメンバーが占める。
 下牧さんは「(医学英語研修は)海外の医療現場を知る大きなチャンス。必ず参加するつもりです」と話すが、卒業後の進路として、海外の医療現場で働く機会は正直少ない。日本国内で生活する上で、英語を話せなくても不自由しないのが現実だ。だが、ここで学んだ経験は必ず生きると信じている。
 東海大4年の宮地真由さんはこう話してくれた。
 「私自身、英語を話す先輩への憧れからMESSに参加しました。もともとは英語を口にするのを恥ずかしがるような人間でしたが、学ぶにつれて英語を話すのが楽しくなってきましたし、視野も広がっていきました。2020年には東京五輪が開催されます。外国人の患者さんが増えるかもしれません。そのときに力になりたい。訪れる外国の方々に『日本の医療現場はいつ来ても大丈夫』と安心感を与えられる存在になりたいですね。」

パワーポイントなどを使って発表、議論する

MESSには帰国子女や留学経験を持つ学生も多く参加している

パワーポイントなどを使って発表、議論する

新入生を迎えて医学英語のクイズを開催。
楽しく学ぶのがMESSのモットー