一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏

(第6回)
医師7年目の緊急事態
2週間泊まり込み、チーム全員で対応

 ◇完全消耗も、今後の糧に

 「2時間に1回採血して検査室に行き、緊急検査で結果が出たらすぐに持ってきて、尿量を測定、記録して、体位交換して背中をタッピングするなど看護師の仕事もやりました。無尿の後に、異常に多量の尿を排出する尿崩症も起こし、輸液と呼吸管理を続けました。一瞬たりとも気が抜けない状況でした」と対馬氏は振り返る。

 女性はこの間、感染症などで3回の開腹手術を繰り返し、ようやく出血が止まり一命を取り留めた。「どうやったらいいか、上の先生とあれこれ相談しながらやりました。研修医も大変で、検査容器を持ったまま廊下で倒れたり、涙ボロボロ流しながら笑い始めたり、もうみんな疲れ切って惨たんたるありようでした」

 緊急事態が去り、チームは交代で夏休みを取った。対馬氏は家族で海に行ったという。当初は完全に消耗し切って「もう現場には戻れないかもしれない」と思ったが、休養で心身は急速に回復。旅行から帰る頃には、「どんな難しい症例が来ても、あの時よりはマシ」と思えるようになったという。

 「あの時の患者さんとは、大親友になりました。ご飯食べたり飲んだり、お互いの子どもを連れて遊びに行ったり、ずっとお付き合いしてるんです。病院を異動しても、友情は続いていますし、医者としてもずっとその人の生活を応援しています」(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏