一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第6回)
日本初の手術、9時間がかりで成功
ブラジル再訪で学んだ技術

 ◇占い通り? 人生変わる

 ブラジル滞在中、サンパウロ、リオデジャネイロなどを渡り歩き、減量手術を行う医師の元を訪れた。1週間で20例以上もの手術を見学、助手として手術に参加させてもらえることもあった。

 「実際、手術を見学してみると、日本では見たこともない重症肥満患者が多いことにまず驚きました。そして、そのものすごく太った人を腹腔鏡で短時間に手術してしまうことにもびっくりしました」

 新しい治療技術を導入するためには、誰かが先陣を切らなければならないものだが、最難関の手術に挑むとなれば、さらに技術追究のハードルは高い。

 「過去にブラジルに行ったことがなければ、やらなかったと思います。面白いことに、学生時代にブラジルに行く時に、うちの母がよく当たる占い師さんに見てもらったら、僕はブラジルで人生を変える出会いがあると言われたんですよ」

 実際、最初の旅でも多くの出会いがあったが、人生を変えるほどの体験とは思わなかった。しかし、十数年の歳月を経て再訪し、減量手術を学んだことで、笠間氏の医師人生は大きく変わった。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師