一流に学ぶ 日本女性初の宇宙飛行士―向井千秋氏

(第7回)シャトル爆発に衝撃、戸惑いも =34歳で結婚、夫が全面支援

 ◇「君について行こう」

春の園遊会で、宇宙飛行士の向井千秋さん(右から2人目)と夫の向井万起男さん(右端)に声をかけられる天皇、皇后両陛下(1999年5月、東京・元赤坂の赤坂御苑)
 留学を半年先に控えた86年12月、向井氏は34歳で結婚。相手は同じ慶応病院で働く5歳年上の病理医、向井万起男氏だ。宇宙飛行士の夫の視点で書いた『君について行こう』は、まだ夫が妻の仕事を全面的にサポートするというライフスタイルが珍しかった当時、大きな話題になった。

 「うちの旦那も私も独身主義者。いい仲間と楽しく自分のプロフェッショナルな仕事ができればいいと思ってた」。医学生の時、向井氏が病理解剖のアルバイトに行ったときに万起男氏と顔見知りになった。住んでいる場所も近く、自然の成り行きで一緒になった。

 「周りは男の方が多かったから、友達って女の子を探す方が難しい。映画やミュージカルに行ったり、ボウリングや卓球、ビリヤード、射撃、バッティングセンターとか、みんなでわいわい楽しくやっている中で、お互いすごく変わっていて、こんなに気が合う人って、そうはいないよねって。1人でごはん食べるより、2人で食べたほうがおいしいよねって。それで結婚することにした」

 結婚披露宴も記念写真も何もなし。新婚生活は留学までのほんの半年間。一緒に過ごす時間はほとんどないが、結婚30年目になる今でも「千秋ちゃん」「万起男ちゃん」と呼び合う仲だ。

 「お互い年取った親をどうするかという共通の課題はあるけど、いわゆるみんなが考えているような夫婦とは違いますね。お財布は別々だし、お互いいくら稼いでいるかも知らない。今はメールとか電話があるから、連絡は取れるし、寂しいなんてこともないですね。私は年の半分近くは海外だし、旦那もよく海外に行っては『こんな面白いことがあった』ってメールくれます」(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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