一流に学ぶ 日本女性初の宇宙飛行士―向井千秋氏
(最終回)教育は「夢実現のツール」 =本物から学ぶ機会、学生に
◇独自開発のプログラム
文部科学省の委託事業として独自に開発した宇宙教育プログラム「本物から学ぶ」もその一つ。レクチャーと実習、体験が盛りだくさん。米航空宇宙局(NASA)から宇宙飛行士を連れてきて、英語でディスカッションさせたり、飛行機を使って無重力を体験させたり、宇宙ステーションと同様、学生たちにチームを組ませて、飛行する人、地上でサポートする人で連携して実験をさせたりもする。小さな人工衛星を作らせるプログラムでは、「締め切りに間に合わなければロケットは飛ばない。遅れたらゼロと同じなのよ」とプロの厳しさも体験させる。
「本物って、知識を伝えるというより、姿勢。エンジニアも科学者も宇宙飛行士も、みんな仕事は厳しい。そんな中で、厳しいことを乗り越え、それでも好きな仕事をやっているという姿勢が学生たちに伝わればいいと思っている」
受講生は、東京理科大の学生に限らず、高校・大学生計30人を公募で選ぶ。今年で3年目だが、毎回120人ぐらいの応募があり、今年度は合格者の6割が女性だ。
「今の女子学生は非常に発想も豊かで、自由で肩の力が抜けている。昔は使命感みたいのがあったけど、今は自分なりの良さを求めている人が多い。人の人生を生きているわけじゃなくて、自分の人生を生きている、しなやかな女の子たちが多いと思います。日本の未来も決して暗くないと思いますね」
65歳になっても、明るい笑顔は宇宙へ飛んでいた頃の向井さんと変わらない。「だって、自分が若いと思ってるから。なんでもそうだけど、誰かがのびのびと楽しそうに笑ってると、自分だって楽しくなってくるじゃない」と笑顔を見せた。(ジャーナリスト・中山あゆみ)
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(2018/01/09 10:00)