こちら診察室 きちんと治そう、アトピー性皮膚炎
第2回 アトピー性皮膚炎、治すための「3本の柱」
~炎症抑える治療の基本とは~ 野村有子・野村皮膚科医院院長
アトピー性皮膚炎は、バリアー機能が弱まった皮膚の中に異物が入り込み、かゆみの強いアレルギー反応を起こした病気。治すためには「治療の3本柱」をきちんと実行することが大切です。
最初は、すでに起きているアレルギー反応による炎症を、治療できちんと食い止めること。次に、アレルギーの原因物質を突き止めて対策を取ること。最後、症状改善後も再発しないように、皮膚のバリアー機能を高める保湿ケアを続けること。治療はこの順番で行っていきます。
放置すると、炎症反応は周りの皮膚に広がり、ひどくなると全身にまで及ぶことがあります。そうなると、猛烈なかゆみで夜もなかなか眠れない状態になってしまいます。
「どうしてここまでほっておいたの?」「病院に行ったって、どうせ治らないでしょ」
アトピー性皮膚炎を放置していた患者と、こんな対話を交わすことがあります。「いつものことだから…」「忙しくて医者に行けず、薬がなくなってしまった」と言われたこともあります。
このようなとき、私は必ず「今は、アトピー性皮膚炎は治す時代になったのですよ! 一緒に原因を突き止めながら、きちんと治療をしていきましょう」と励まします。
◇効き目の強さや使用期間を調整する
治療の最初に、皮膚のアレルギー反応を食い止めるためには、直接炎症を止める塗り薬(外用薬)を塗るのが最も効果的で、最短コースになるのは言うまでもありません。
外用薬の第一選択として用いる薬は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)です。炎症を抑える働きにより、湿疹やかゆみを治します。
もう一つ、免疫抑制剤のタクロリムス軟こうを塗るという選択肢もあります。この二つの外用薬をいかに選択し、組み合わせるか、医師は個々の患者の症状などに応じて判断し、治療を進めていきます。
ここでは、ステロイド外用薬の正しい使い方について詳しく説明していきます。
ステロイドは、効き目の強さにランクがあります。アトピー性皮膚炎の症状の重さや使用する部位に合わせて、その強さのランクや使用する期間を調整します。
ただし、とても強いランクの薬を、長期間、顔に使用したり、治った後でもだらだらと使い続けたりすると、皮膚が薄くなる、毛細血管が広がる、ほてって赤くなる、ニキビができやすくなるといった副作用が出る心配があります。
また、長期間使用していながら、急にやめてしまった場合にも、ほてったり腫れたりすることがあります。
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(2019/06/10 06:00)
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