志水秀行 医師 しみずひでゆき

慶應義塾大学病院

東京都新宿区信濃町35

  • 心臓血管外科
  • 副病院長
  • 外科学教授・診療科部長

外科 心臓血管外科

専門

大動脈瘤や大動脈解離をはじめとする、心臓・大血管領域の疾患への外科的治療

医師の紹介

 大動脈瘤は症状がない病気ですから、コブが破れないようにすることだけが治療の目的となります。薬でコブを小さくすることはできないので、破裂のリスクが高ければ手術が必要です。ゴムホースで例えるなら、ゴムの内側の壁が劣化して亀裂ができ、そこから壁の中に水が入り込んで壁がはがれていくような感じです。
 大動脈の壁が膨らみ、破裂リスクがある「大動脈瘤」。そして大動脈の壁が裂けてしまう「大動脈解離」。これらの大動脈疾患に対しては人工血管置換手術、および体への負担が少ないステントグラフト内挿入術などの治療があり、志水秀行医師はこの両面に精通するエキスパートとして知られている。
傷んだ動脈を人工血管に置き換える人工血管置換術は、確実性が高いのが利点だ。ただし、脳に向かう動脈に近い弓状大動脈では脳梗塞、下行大動脈や腹部大動脈では脊髄障害から下半身麻痺や排泄障害などの合併症が稀ではあるが起こり得る。志水医師はこうした合併症をなくすための研究にも取り組んできた。
「弓部大動脈の手術では、脳への障害を回避するために低体温とする、あるいは選択的脳灌流法により脳への血流を確保しながら進めます。胸腹部大動脈では、脊髄障害を防ぐことを目的として、世界初の『脊髄冷却カテーテル』を用いた手術を行いました。このように、『脳梗塞や脊髄障害ゼロ』を目指して研究や治療に従事しています」(志水医師)
 ステントグラフトを用いた低侵襲治療にも積極的だ。ステントグラフト内挿術は、大腿の付け根からカテーテルを挿入し、病変のある大動脈へステント(人工血管に金属の筒を取り付けたもの)を運んで留置する治療。この治療を行うには、医療機関は施設基準、医師は認定資格が必要とされ、志水医師はその認定制度に関わる委員会のトップを務めている。
「ステントグラフト内挿術は手術と違って低侵襲で、高齢の方にも負担が少なくて済みます。しかし、病変の場所によっては実施できないこともあります。それぞれの治療にメリット・デメリットがあるわけですが、最近は外科的手術と血管内治療を組み合わせた『ハイブリッド手術』も可能となりました。安全な治療を第一に、無理のない適切な治療方針を選択しています」(志水医師)

診療を受けるには

予約制。他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)は事前に要送付

医師プロフィール

1986年 慶應義塾大学医学部卒業、同外科にて外科研修
1990年 慶應義塾大学大学院卒業、医学博士号取得
その後都立清瀬小児病院、平塚市民病院、慶應義塾大学病院勤務、米国アラバマ大学心臓胸部外科クリニカルフェローを経て、1997年より慶應義塾大学心臓血管外科スタッフ
2006年 慶應義塾大学医学部 外科学専任講師
2014年 同大学医学部外科学教授、心臓血管外科診療科部長
2021年 同大学病院 副院長

所属学会

【資格】
外科専門医、心臓血管外科専門医、脈管専門医
腹部ステントグラフト実施医・指導医(Zenith、Excluder、EPL、Talent、Endurant)
胸部ステントグラフト実施医・指導医(TAG、Talent、TX2、Valiant、Relay、Najuta)

【所属学会・学会活動】
心臓血管外科専門医認定機構 委員・試験問題作成委員会副委員長
日本心臓血管外科手術データベース機構 幹事・運営会議メンバー
日本ステントグラフト実施基準管理委員会 委員
経カテーテル大動脈弁置換術関連学会協議会 委員
日本胸部外科学会 理事・評議員 学術委員会委員長ほか
日本心臓血管外科学会 理事・評議員 渉外委員会委員長ほか
日本血管外科学会 理事・評議員 学術委員会委員長ほか
日本脈管学会 理事・評議員
日本外科学会 代議員、邦文誌編集委員会委員、英文誌編集委員会委員、国際委員会委員ほか
日本経カテーテル心臓弁治療学会 理事 学術委員会委員長、データ利用委員会委員長ほか
日本低侵襲心臓手術学会 世話人 教育委員会委員長
日本冠動脈外科学会 評議員 編集委員会委員
日本循環器学会
日本冠疾患学会 評議員
日本心臓病学会 FJCC(Fellow of the Japanese College of Cardiology)JC Cases Associate Editor
日本人工臓器学会 評議員
The Society of Thoracic Surgeons
European Society of Thoracic Surgeons
The Asian Society for Cardiovascular and Thoracic Surgery
日本大動脈外科研究会 代表世話人
関東心臓外科手術手技研究会 代表世話人
大動脈解離シンポジウム 幹事
大動脈瘤研究会 世話人
日本心臓移植研究会 世話人
重症心不全研究会 幹事
日本AHVS/OPCAB研究会 幹事
Developing the Academic Surgeon 世話人

主な著書

『心臓外科手術と術後ケア 術式別ポイントチェック』(2016年メディカ出版)

医師発信欄

(更新日:2024年2月1日)