新本春夫 医師 (あらもとはるお)

榊原記念病院

東京都府中市朝日町3-16-1

  • 末梢血管外科
  • 部長

血管外科 循環器科

専門

腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、下肢静脈血栓症

新本春夫

東京大学医学部を卒業後、血管外科の道に進み、心臓血管外科専門医、脈管専門医となる。心臓疾患治療の名門として知られる榊原記念病院が、府中市に新病院を開院したのをきっかけに、循環器領域全体をカバーしようという方針から2004年4月より末梢血管外科が立ち上がった。新本医師はそこで部長として腕をふるい、腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤、下肢静脈血栓症、など血管関連の治療を得意とする。いずれの疾患も循環器内科、心臓血管外科と緊密な連携をとりながら診察、治療をするのが特徴。

診療内容

静脈瘤とは静脈が拡張・蛇行している状態で、静脈血の還流障害をきたした疾患である。「本来は良性疾患ですので早急な治療は必要ではありませんが、夜間のこむら返りや下肢の浮腫、鈍重感、あるいは色素沈着や湿疹などの皮膚症状をともなう場合には、積極的に治療を受けることをお勧めします」と新本医師は言う。
その成因、病態によって治療法は異なってくるが「まずは病気を知ることが大切」という考えに基づき、同院では初診時に下肢血管エコーをおこないながら、病気の本態を患者にくわしく説明している。使用しているのはフィリップス社の最新鋭超音波診断装置iU-22で、血管病変を患者に提示しながら診断し、治療方針を決定していく。
下肢静脈瘤の治療は圧迫療法、手術療法、血管内治療法、硬化療法の4つに分けられる。それぞれの特徴を新本医師に訊いた。
「まず、圧迫療法とは弾性ストッキングを着用して静脈瘤の発生部位を圧迫する方法で、表在静脈の屈曲蛇行のみで日常生活に支障を訴えない場合や、患者さんが手術を希望しない場合に用いる治療法です。当院ではストッキングコンダクター講習会認定の看護師が使い方や注意点などの指導をおこなっていますが、この治療は対症療法に過ぎないことや、長期間常に着用しなければならない煩雑さから患者さんにとって苦痛となることが多い、という難点もかかえています」
次の手術療法は、逆流の抑止と静脈瘤の消失を目的とするものである。
「もっとも根本的な治療としては、高位結紮と静脈抜去(ストリッピング)、そして穿通枝の結紮等の手術療法があります。高位結紮は大、小伏在静脈が深部静脈へ合流する部分で結紮切離するものです。ストリッピングは原則として高位結紮術を併施しておこなう手術で、ストリッピングワイヤを用いて静脈瘤を抜去します」(新本医師)
ただし、これらの手術療法はすべての症状に適応するわけではなく、全身に重篤な合併症を有する場合や深部静脈閉塞などの疾患がある場合などには使用できない。
「血管内治療法とは、ラジオ波やエンドレーザーを使い静脈瘤壁に熱変化を加えることで、内腔を閉塞させる治療法です。ストリッピング治療と同等の効果が得られるうえに、より体への負担が少ないことから急速に普及しつつあります」(新本医師)
レーザー治療は2011年に保険適用されたため、これからさらに増えていくだろうと新本医師は予測する。
「最後の硬化療法は、静脈内に硬化剤を注入し、静脈を圧迫することで、硬化剤の効果により静脈内腔を癒着・閉塞させる治療法です」
同科では下肢静脈瘤だけではなく、腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓血管炎(ビュルガー氏病、バージャー病)、急性動脈閉塞症、下肢静脈血栓症、下肢浮腫(リンパ浮腫)なども扱っている。
「腹部大動脈瘤や急性動脈閉塞症など一部の疾患を除き、末梢血管外科で扱う疾患は慢性疾患が多く、直接生命にかかわらなくても患者さんの QOL(生活の質)を低下させる疾患が多いことが特徴です。そこで治療方針につきましては、納得のいく十分な説明を行ったうえで決定していきたいと考えております」
患者ときちんと向き合い、愁訴を確実に聞き、それぞれに応じた治療をしていくことが大切だと、新本医師は語った。

医師プロフィール

1985年3月 東京大学医学部 卒業
1989年6月 東京大学医学部附属病院 第一外科(現 腫瘍・血管外科)入局
1996年4月 東京大学医学部附属病院 血管外科 助手
1997年 米国ニュージャージー州立医科歯科大学医学部 血管外科学教室 留学
2004年4月 榊原記念病院

「下肢静脈瘤」を専門とする医師