電撃傷のとき
高圧電線に触れたり、落雷など強大な電気エネルギーによる組織損傷を電撃傷と呼びます。損傷の原因としては、ジュール熱、放電(スパークアーク)、2次的引火による熱傷、通電による心筋や神経系への障害があります。
■電撃傷の発生メカニズム
□ジュール熱による熱傷
1.病態生理:電気抵抗体に電流が流れると、電気エネルギーが熱エネルギーに変換され熱が発生します。この熱をジュール熱といい、通電した電流の二乗とからだの組織・器官の抵抗および通電時間の積に比例します。つまり、電気抵抗が大きいほどジュール熱は大きくなります。そして、からだの電気抵抗は、骨、脂肪、腱、皮膚、筋肉、血管、神経の順に大きいので、骨や脂肪組織はジュール熱による熱傷(やけど)を負いやすいことになります。
また、電気流入部の皮膚では電気抵抗の高い皮膚がジュール熱により傷害され、辺縁が隆起し周囲に紅斑(こうはん)を伴うⅢ度熱傷を生じ、これを電流斑といいます。皮膚全層の壊死(えし)です。電流が体外に流出するときも、ふたたび皮膚に深い熱傷(Ⅲ~Ⅳ度熱傷)を残し、植皮手術が必要になることもしばしばです。電撃傷の場合は、表面上なんともないように見えてものちに重大な障害が起こることがありますから、すみやかに医療機関へ搬送しましょう。
2.軟部組織(骨、筋肉、血管、消化管)の障害としては、次のようなものがあり、手関節、足関節の場合、減張切開が必要となることがあります。
・末梢神経のジュール熱による障害
・血管で発生したジュール熱による血栓形成・阻血(そけつ)・組織壊死、遅発性動脈出血、動脈瘤形成
・筋肉組織でのジュール熱発生による筋障害、ミオグロビン尿症による急性腎不全
3.交流と直流では、交流で筋れん縮が生じやすく、通電時間が長くなるのでより危険とされています。
□放電による傷害
1.アーク(低電圧、大電流の放電。2万℃以下の高熱が出る)やスパーク(高電圧、小電流の放電)では、体表面の傷害、皮膚全層の傷害を生じます。
2.衣類発火による二次的熱傷、気道熱傷もみとめることがあります。
□通電による障害
1.中枢(ちゅうすう)神経に通電すると、呼吸停止、末梢神経障害の知覚異常や運動障害を生じます。
2.心筋への通電による心室細動・心停止。交流電流300mA、3秒間の通電で心室細動が発生します。
3.白内障を合併します。
□感電後の転倒・転落による二次外傷(骨折、臓器損傷など)。雷紋(らいもん)
■電撃傷の発生メカニズム
□ジュール熱による熱傷
1.病態生理:電気抵抗体に電流が流れると、電気エネルギーが熱エネルギーに変換され熱が発生します。この熱をジュール熱といい、通電した電流の二乗とからだの組織・器官の抵抗および通電時間の積に比例します。つまり、電気抵抗が大きいほどジュール熱は大きくなります。そして、からだの電気抵抗は、骨、脂肪、腱、皮膚、筋肉、血管、神経の順に大きいので、骨や脂肪組織はジュール熱による熱傷(やけど)を負いやすいことになります。
また、電気流入部の皮膚では電気抵抗の高い皮膚がジュール熱により傷害され、辺縁が隆起し周囲に紅斑(こうはん)を伴うⅢ度熱傷を生じ、これを電流斑といいます。皮膚全層の壊死(えし)です。電流が体外に流出するときも、ふたたび皮膚に深い熱傷(Ⅲ~Ⅳ度熱傷)を残し、植皮手術が必要になることもしばしばです。電撃傷の場合は、表面上なんともないように見えてものちに重大な障害が起こることがありますから、すみやかに医療機関へ搬送しましょう。
2.軟部組織(骨、筋肉、血管、消化管)の障害としては、次のようなものがあり、手関節、足関節の場合、減張切開が必要となることがあります。
・末梢神経のジュール熱による障害
・血管で発生したジュール熱による血栓形成・阻血(そけつ)・組織壊死、遅発性動脈出血、動脈瘤形成
・筋肉組織でのジュール熱発生による筋障害、ミオグロビン尿症による急性腎不全
3.交流と直流では、交流で筋れん縮が生じやすく、通電時間が長くなるのでより危険とされています。
□放電による傷害
1.アーク(低電圧、大電流の放電。2万℃以下の高熱が出る)やスパーク(高電圧、小電流の放電)では、体表面の傷害、皮膚全層の傷害を生じます。
2.衣類発火による二次的熱傷、気道熱傷もみとめることがあります。
□通電による障害
1.中枢(ちゅうすう)神経に通電すると、呼吸停止、末梢神経障害の知覚異常や運動障害を生じます。
2.心筋への通電による心室細動・心停止。交流電流300mA、3秒間の通電で心室細動が発生します。
3.白内障を合併します。
□感電後の転倒・転落による二次外傷(骨折、臓器損傷など)。雷紋(らいもん)
(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)