脳動静脈奇形〔のうどうじょうみゃくきけい〕 家庭の医学

 動脈の末端は毛細血管を経て静脈につながるのがふつうですが、直接動脈と静脈がつながったり(吻合〈ふんごう〉)、小さいかたまりをつくったりしている場合があります。先天的に存在する場合を脳動静脈奇形といいますが、頭部外傷で動脈壁の障害が起こった場合には、後天的な動静脈吻合ができる場合もあります。脳動静脈奇形も脳動脈瘤(りゅう)と同様に破裂することがあります。その場合は、くも膜下出血の状態となります。また破裂しない場合でも、しばしばてんかん発作で発病することがあります。
 長期の経過中には、結局くも膜下出血とてんかん発作の両者が出現してくるようになります。出血の場合、脳動脈瘤と異なり、20歳以前に多く、また死亡率は、初発時も再発時も10%ぐらいでほぼ同様です。手術も動脈瘤ほど簡単ではありません。したがって手術適応も、病状や病変との兼ね合いで慎重に決定されなければなりません。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)