先天性小耳症・外耳道閉鎖〔せんてんせいしょうじしょう・がいじどうへいさ〕

 生まれたときから耳介(じかい:耳たぶ)のかたちが小さく、外耳道が閉鎖しているもので、先天形態異常の一つです。出現率は片側が10万人に1人、両側性は100万人に1人です。耳介は全体が小さいものからほとんどかたちをなさないものまであります。原因は不明ですが、遺伝子の異常が関与する場合も報告されています。
 小耳症には、外耳道(がいじどう)閉鎖や中耳形態異常を伴うことが多くみられます。これは外耳道(耳の穴)がないことと、音の振動を伝える部分である耳小骨(じしょうこつ)の連鎖が異常であるために起こります。
 通常、内耳には問題はありません。中耳の形態異常では、中耳が存在しない高度の異常から、耳小骨の一部の形態異常や欠損にとどまるものまでさまざまです。小耳症の多くは、外耳から音は入らないが、大きな音は頭蓋骨を振動させて蝸牛にも音振動が伝わるため、60~70dB(デシベル)ほどの伝音難聴を示します。片側の場合、反対側は正常聴力なので補聴器の装用は不要です。両側の場合は骨導補聴器(側頭骨に振動を伝える補聴器)が必要です。伝音難聴なので骨導補聴器を使うと正常に聞こえます。
 治療としては耳介形成をおこないます。聴力については、中耳の形態異常が高度な場合は埋め込み型骨導補聴器を考慮します。中耳の発育がよい場合は、外耳道から中耳を再建する手術(外耳道鼓室形成術)、または人工中耳埋め込み術を検討します。これらの適応を決定するには、聴力検査に加えて側頭骨のCT(コンピュータ断層撮影)検査が必要です。
 耳介の形成手術では、本人の肋(ろく)軟骨を採取形成して耳介部分に埋め込む方法が一般的であり、耳介の成長が成人に近い状態に達する9~10歳前後におこなわれます。埋め込んだ耳介が生着した術後6カ月以降に、埋め込んだ耳介を起こして正常に近い隆起形態にします(耳介挙上術)。海外では人工物を埋め込む手術も一部の施設でおこなわれていますが、異物のために感染や、異物反応によって排出されるなどの問題があり、日本ではおこなわれていません。耳介挙上術と聴力改善を同時におこなうと手術回数が軽減され、また形成耳介と外耳道の位置の調整もおこないやすいため、形成外科と耳鼻科の合同手術でおこなうことがすすめられます。
 手術後の聴力は一度の手術では改善しない場合や経過中に悪化することがあり、その場合はさらなる改善のための再手術をおこないます。形成した耳介に強い外力が加わらないよう、スポーツの一部は制限が必要です。なお、この手術は成人でも可能です。
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