腎臓病の症状 家庭の医学

 内科で診察される腎臓病では次のような症状がよくみられます。

■尿量の変化
 通常1日あたりの尿量は1000~1500mLとされています。腎機能が低下したり尿路に結石や腫瘍があったりする場合にそれらにより尿の流れがとめられる結果、尿量が減少します。
 急性腎障害(以前の急性腎不全:急激に腎機能が低下する場合)では尿量が低下し、いわゆる乏尿(1日400mL以下)になることがあります。しかし、無尿(1日100mL以下)になることは少なく、無尿の場合には尿路の閉塞が疑われます(尿閉〈にょうへい〉)。
 慢性腎臓病(以前の慢性腎不全)では、尿量の低下はいわゆる末期腎不全といわれる透析が必要な状況までみられないことがほとんどです。慢性腎臓病でも、心臓病や肝臓疾患が関連している場合には尿量の低下がよくみられます。
 また、ネフローゼ症候群でもしばしば尿量の低下がみられますが、この場合には著明な浮腫(むくみ)もみられます。

■血尿
 内科領域では、一般に血尿は潜血反応陽性としてとらえられることがほとんどです。目で見て赤い色をしている、いわゆる肉眼的血尿はその大部分が尿路の異常に関連していると考えてください。
 潜血反応陽性にはさまざまな疾患が含まれており、腎疾患のほとんどといっても過言ではありません。症状がないことが多く、しばしば放置されることが多いのですが、尿潜血反応陽性のときは一度腎臓専門医を受診してください。

■たんぱく尿
 たんぱく尿はその程度により、(-)から15、30、100、500mg/dLと最近は表現されています。一般に尿中のたんぱく質の量が15mg/dLや30mg/dLの場合は生理的たんぱく尿といわれることもあるように発熱、激しい運動のあと、過労、長時間の立位のあとなどでもみられます。しかし、100mg/dL以上になるとそのような生理的な範囲を超えているので、必ず腎臓専門医を受診してください。たんぱく尿は多くの腎疾患でみられますので、たんぱく尿からだけではどのような腎臓病であるかは決定することはできません。

■むくみ
 むくみは腎臓病のときによくあらわれる症状です。急性糸球体腎炎では、しばしば朝起床時に顔がむくむことで気がつきます。また、慢性腎臓病やネフローゼ症候群では夕方に下肢にむくみがあらわれることが多いので、このような症状がある場合には検査を受けることをお勧めします。

■高血圧
 高血圧は原因が不明の本態性高血圧が90%近くを占めていますが、残り10%のなかではその大部分が腎臓病と関連しています。腎臓は血圧の調節器官であり、腎臓に障害が生じると多くの場合、血圧は上昇します。また、しばしば本態性高血圧としてみられているなかにも腎臓病によるものが含まれていることもあり注意が必要です。

■かゆみ
 慢性腎臓病が進行してくると、かゆみがしばしば出現します。このかゆみの本体はいまだ解明されていませんが、特に夜間にかゆみが強くなるのが特徴です。

■下肢のイライラ感
 慢性腎臓病では、電解質の異常や尿毒物質を排泄(はいせつ)しきれずさまざまな物質が蓄積した結果、神経や筋肉に障害を起こし、特に下肢のイライラ感やこむらがえりといった症状が出現します。

(執筆・監修:医療法人財団みさき会 たむら記念病院 院長 鈴木 洋通)
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